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『…やめてください。』
上腕を掴まれながらも、嫌そうにそう言い放った姉貴に酔っ払いの絡みはエスカレートしていく。
「クロ。A、助けなくていいの。」
「あ?だってアイツどうせパワー5リラだからどうにかなるだろ。」
面倒臭そうに言うと、研磨の猫の様な双眸が俺を射貫く。
「…じゃあなんで、態々着いてきたの?」
「心配だからでしょ」と言いながらスマホの画面に目を落とした研磨はきっと、俺に早く助けに行くよう態度に示している。
ンなこと言われてもなぁ…と渋っていると、姉貴の悲鳴が聞こえてくる。
『ちょっ、と!本当に、やめてください!』
「なぁにすぐ気持ちよくなるからさぁ〜、おじさんサービスしちゃうよ?ねェ?」
上腕だけでなく腰まで掴んでいる酔っ払いを見て、自分の中で何かが切れた音がした。
「研磨、悪ぃけど荷物もっててくれ。」
「うん。」
ブレザーも脱いで身軽になった俺は2人の元へと近付いて、姉貴の肩に手を回すと自分の方へと引き寄せる。
『わっ、』
俺の胸に寄り掛かるような体制の姉貴の背中を擦りながら、酔っ払いの方を見る。
「な、なんだね君は…」
たじろぐ酔っ払いに、つい先日烏野から胡散臭いと言われた笑顔を浮かべ、にこやかに話しかける。
「ドウモ、俺の彼女なのでやめて貰えます?それともお巡りさんともお話しようか?」
「な…フ、フン!俺はそんな女知らねえ!」
そう言って背を向け、逃げようとする酔っ払いの肩を掴み道路脇の壁に押し当てる。
「二度とその面見せんな。」
「ひぃっ…!」
怯えきった酔っ払いはシラフじゃないのかと言うくらいのしっかりとした足取りで、走って逃げ帰っていった。
「ハァ…」
『て、てっちゃん…ごめんね。』
怒られる前の子供みたいな表情で俺を見上げる姉貴を見て、なんかもうどうでも良くなってしまった。
『わっ』
そのまま抱き締めると案外素直に両手が背中に回ってきた。
「あんま心配させんな。」
『うん、ごめんね。』
・
翌日
『てっちゃーん!今日は隣駅の焼き鳥「おい昨日のこと忘れんじゃないよな?」…ハイ。』
「…Aって鳥頭なの?」
『ケンメァ…』
今日も懲りずに自由人な姉貴。
俺が尻に敷かれてる?
それは違ぇな。どう考えても俺が主導権握ってる。
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花 - 角名君の双子(女の子)と研磨の双子(女の子)お願いしたいです! (2020年11月22日 2時) (レス) id: a08fd39532 (このIDを非表示/違反報告)
川白 - 国見くんの義姉、お願いします! (2020年8月23日 10時) (レス) id: 86245055db (このIDを非表示/違反報告)
ばなな味のあくえりあす - 宮兄弟の妹、星海くんの妹、大地さんの妹のお話書いてほしいです!! (2020年6月24日 3時) (レス) id: a72f134362 (このIDを非表示/違反報告)
白猫(プロフ) - とても面白かったです!更新頑張ってください!待ってます! (2020年3月25日 12時) (レス) id: eb111e24a3 (このIDを非表示/違反報告)
スナッチ - 前にリクエストした、 佐久早×従兄弟を書こうとしてくださってありがとうございます!! これからも応援をして、少しでも元気になってくれると、嬉しいです (2020年3月19日 14時) (レス) id: 9c5bac3c4f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:LigtTrrrttt | 作成日時:2019年6月22日 0時