四夜 ページ6
「おはよう、Aちゃん。お弁当作ったわ」
『おはよ、ありがとうね』
「いいわよ、山にはコンビニなんてないからねぇ」
寝室から出てくれば、祖母がお弁当を作ってくれていた。ご飯に執着しない私の事だから、近くにコンビニなんかが無ければ、昼ご飯は抜くかもしれないということを考えてくれたのだろう。
朝食と身支度を終えてから、リュックにそれなりに物を詰めていく。
その際に押入れを開けると、ちょうど自分の目の高さにあったお菓子の缶に「たからばこ」と下手くそな文字で書かれたものを見つける。
『うわ、懐かしい』
ぱこっと埃を撒きながらその蓋を開けると、ビー玉やスーパーボールなどが入っていた。
小さい頃に気に入ったものをたくさん入れていただけの箱の中身を見ていく。
ビー玉はきらきらしてて好きだったし、スーパーボールの模様が綺麗でたくさん集めていたなぁ。
一つ一つ、その思い出を思い出してくと、古いお守りを見つける。
『……これ、何で持ってんだ?』
全く持ってここに仕舞う理由が分からないお守り。細かい刺繍がされている、ボロいけど高価そうな代物。
しかも、お守りって年明けにとんどとかで燃やしたりしてもらうんじゃないのか。
「見つけたわ、神社までの地図よ」
『あ、ありがとう。ねぇ、おばあちゃん、これ、私持ってた?』
おばあちゃんが古い地図片手にやってきたので、聞いてみれば、「あら、懐かしいものを見つけたわね」と驚いているようだ。
「昔のAちゃんが大切に持ってたものよ。持っていきなさいな。人が大切にしてたものは、その人をきっと守ってくれるわ」
『ふーん、分かった。まぁ、行ってくるわ』
「いってらっしゃい、気を付けて」
目的のものをリュックに入れて、おばあちゃんに玄関先で見送られながら、地図頼りにしながら歩いていく。
たまに人とすれ違うが、山道手前というところになれば、道も荒れてきて人の姿は見えない。
だが、人の代わりと言ってはなんだが、先程から小さな足音が聞こえてきている。
トテトテトテ
『……黒猫か』
そう言えば、ニィ、と一鳴きする。
別に猫は好きだし、ここで邪険に扱うわけでは無いが、ここから先は猫にとっては危険じゃないのか。
『今のうちに帰りなよ、崖に落ちたって知らないよ』
黒猫を抱き上げて、私が向かう方向と逆方向を向かせ、また歩き出す。
しかし、後ろを向けば尚も付いて来る黒猫に私は諦めて、最終的にはクロと安易な名前を付けて一緒に神社へ向かっていく。
ラッキーカラー
あずきいろ
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心持ち - 続きが気になります!更新頑張って下さい!! (2020年7月14日 19時) (レス) id: 6c4e6d0421 (このIDを非表示/違反報告)
みいこ - 続きが気になります〜!!応援するので頑張ってください! (2019年2月17日 18時) (レス) id: 453fe277c2 (このIDを非表示/違反報告)
ペストさん(プロフ) - もものすさん» 狂愛大好きなんで……!あまり言うとネタバレするんですけど、私が作者ということで察して下さい() (2019年1月21日 17時) (レス) id: 6ba271420a (このIDを非表示/違反報告)
ペストさん(プロフ) - イムさんさん» ああありがとうございます!お兄さん達、もうちょいで出てくるんで待っててください! (2019年1月21日 17時) (レス) id: 6ba271420a (このIDを非表示/違反報告)
もものす - 狂愛なんですね…まだ平和()前々作最後まで見たことあったけどどろどろだったからこれもどろどろになるんですかね? (2019年1月21日 16時) (レス) id: 7ecc545104 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ペストさん | 作成日時:2019年1月20日 21時