【月刊少女野崎くん】気の利く女子高生は、修正担当アシでした。４

第１２４号 尾行デート作戦3 ページ6

「ちょっ、野崎歩幅合わせてよ！ああもう!!」

「……ら」

「あ、でも気付いた。ここでちゃんと……って！これ千代ちゃんの中でだけきゅんってするだけじゃん!!」

「…………わら」

「あーあ、なんでこうなるかなぁ。お、距離開いたから詰めなきゃ」

「………………だわら」

「心配ないさ、僕がついてる。……うん、こないだの小田原絵ヒーローのセリフだね。こういう時使うのかぁ」


「小田原ぁ!!」

「なに御子柴ぁ!!」


呼ばれて答えて振り返ると、肩で息をしている御子柴がいた。ちょっと、そこにいたらまずいって。

通路のセンター寄りに立っていた御子柴を脇に引っ張ると、御子柴は青い顔で言った。

「小田原……お前は周囲の視線とか気にしねぇのか……？」

「え？ああ」

言われてみれば、確かにチラチラとこちらに視線が投げかけられていた。そしてお連れさんとヒソヒソ話。いやぁすみませんショッピングを邪魔しちまって。


「大丈夫よ御子柴、あれは少なくとも凡人である私への視線じゃなくてイケメンである御子柴へ向けられる視線よ」

「そんなこと言ってていいのかよ、そのうちお前の視線も奪っちゃうぜ……？……っ」


そして、自爆する御子柴に再び視線が集まるのでした。

＊

お察しの通り、私と御子柴は尾行を続け、現在某大型ショッピングモールにいます。
数メートル手前には、もちろん野崎と千代ちゃんがいる。

というかここからだと普通に高校生のカップルなんですけど。身長差が結構あるだけの。
ま、制服着てるし小学生と成人男性には見えませんよ。

しかし、そんな感じで私は間違いに気づいていた。

「……ねぇ御子柴」

「ん？どうしたなんかあったか」

御子柴がこちらに顔を寄せる。私たちは通路の脇に隠れているから、お店の方にぐっと近づかなければならないわけで。
即ち、店員さんの痛い視線を浴びているのだ。こればっかりは致し方あるまい。

そんなことより、私のやってしまった間違いのこと。私は沈んだ気持ちで御子柴に告げた。

「まあほら、画材屋に行くのはいいと思うんだけどさ」

「ああ。何か問題が？」

「……ほら、二人とも目的違うでしょう？」

「分野がな。……あ」

御子柴も気がついたようだ。しまった、という表情をする。私の失敗なんだけど。


二人が一緒にいる時間がそれほど長くはない、と。
行き帰りは別として、もう少し、映画とか他につければよかった。


そんな後悔のうちに、二人を見失ったことにようやく気がつく。

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