【月刊少女野崎くん】気の利く女子高生は、修正担当アシでした。４

最終号 勿忘草の花言葉 ページ45

*

「……ホワァ」

あくびって文字だとこうなんだろうか。まあいいや。

昨日の夜更かしがこたえたのか、土曜日である今日はかなりの寝坊をしてしまった。朝ご飯の匂いもしてこない。
それもこれもメインヒロインの攻略が鬼畜すぎるせいだ。一番可愛いから一番難しいとかなんなの？貶めたいの？

眠い目をこすってリビングへ。途中、部屋から出てきたお母さんとばったり出会った。呆れたような顔でこちらを見る。あのゲームやってみな。

「今何時か分かってるの？妹が部活行って一時間後に起きてくる姉って如何なもんでしょうねえ」

「題材にすれば？出来のいい妹と悪い姉」

「あんた最近よく漫画方面に話持っていくわよね」

ぎくり。

こちらを凝視してくる母の視線を避けて、それはそうと話題を強引に変える。

「ところでそれ何？」

「え？ああ、これね」

母上は部屋から出てきた時から、一枚の紙を手に持っていた。どうやらカラー原稿のようだ。渡されたので流れで受け取る。

「今度の読み切りの、センターカラーよ」

「へえ。……何この花」

ヒロインの周りには、無数の小さな青い花が描かれていた。花って見栄えはいいけど描くのは大変だったりするんだよ。だから御子柴を尊敬する。

「わかんないの？ワスレナグサ」

「ワスレナグサ……ああ、分かった。花ってさあ、見ただけじゃわかんないけど聞いたら知ってるんだよね」

「微妙ね」

はいはい、と眠いまま返事。写真じゃそうでもないけど、イラストだとさらにわからなくなる。

それにしてもワスレナグサかあ、と思って、あれ？と違和感に当たる。

「……ワスレナグサの時期、春の終わりくらいじゃなかった？」

「……クリスマスにバラ贈ったりするじゃない」

言い訳になっておりませんわよ小田先生。あ、ちなみにバラの本当の最盛期は5〜6月なんだけど、色々あって今じゃ一年中ある。だから、クリスマスのバラも間違ってはいない。

でもそれはバラの話だし、ワスレナグサは秋のこの頃は咲かないけど……ヒロインこれどう見ても冬服だけど……ま、大人の事情か。

「時期じゃないの。重要なのは花言葉。知ってる？」

「ん、知らん」

「ちょっとA」

「さーて、朝ご飯ー」

喚いてる母を放って、ご飯ご飯。ない。……作るか。



ワスレナグサの花言葉。

"私を忘れないで" "思い出"



-fin-

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