第156号 南階段の怪 後 ページ41
「で、タンバリン鳴らすのか?」
「先生来ない?やめといたほうがいいんじゃ」
「…………」
「つーかさあ、南階段の怪ってただのダジャレじゃん」
「せんせい、多分それみんな思ってるよ」
「…………」
思いっきり出鼻をくじかれて、まあ固まるしかない。
はーあ、とため息をつくと、結月が近寄ってきた。
「ま、A、諦めろよ」
「何でよ!!あと肩ポンポンなにこれ!?」
ツッコミを入れると同時に、シャリシャリとタンバリンが鳴る。
あ、と思った時にはもう遅かった。
「鳴ったよ」
「鳴ったな」
「……鳴ったね」
あーもう!!やってらんないわこんなの!!
タンバリンを置いて、変わりに鞄からカメラを出す。合宿のデータは出してあるので、これから撮るのが一枚目になる。
「今度は何するの?」
「写真。この時間にここにいましたって、証拠の写真を撮るというより撮って来いって言われた」
「そんなの最初っから言えよ、仕方ないなあ貸してみ」
「結月が撮ったらわかっちゃうじゃないのさ」
適当に自撮りしてさっさとカメラをしまい、鞄を持つと、それじゃあと鹿島が声をあげた。
「Aの用事も終わったし、これからパフェ食べに行こうよ、ほらほら」
「鹿島……あんたパフェ以外のスイーツ知ってる?」
「ちょっ、ちょっと酷い!!」
怒る鹿島の隣で、結月が真剣な顔で呟いた。
「それよりあんみつがいい。駅前の店美味いよ」
「あー、いいねえあんみつ」
「もう……まあいいけどさ。じゃ、行こうよ」
「そうだねー、何も起こんないし、わらびもち食べたいし」
「Aあんみつじゃなかったの?」
お店入ってから決めるー、と言って、三人で歩き出す。
もちろん、途中でタンバリンが鳴ったのでそれを音楽室に返してから。
先生にばれて怒られたけど。
*
「そういえば、噂って結局何だったのかな?」
「まだそれ?だから聞き間違いとかじゃねえの」
「タンバリン鳴らしても、大きな声出しても何も怒らなかったよ?」
「んー……怪談の上で誰かが話してたとか、作業してたとか……かな?」
「そんなもんだろ」
.
トンッ
何もない場所で転んだ女生徒は、ついた手に痛みを感じつつ立ち上がった。
南階段の怪。
まだその噂は耳にしていなかった。
「いたた……ん?」
何かが聞こえる。
手提げをぎゅっと握り締める。
「やだ……物音?」
階段から、小さな音と、微かな笑い声が聞こえた、
ような気がした。
.
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スマトラ島のラフレシア - マカさん» ええまったく本当にそうですよね。爆ぜろという思いはきっと私も同じです←感動だなんて大げさですよ!むしろ戴くコメントに感動して打ち震えております。素敵な質問に続いて、コメントありがとうございました!無自覚?ええそうですとも!! (2015年8月13日 19時) (レス) id: db820b405d (このIDを非表示/違反報告)
マカ(プロフ) - ふぉぉぉぉぁぁぁぁ!お疲れ様です!ラフレシアs!感動をありがとう!無自覚リア充すえながく爆発しててください!!←切実 (2015年8月13日 16時) (レス) id: 66f2c32cb1 (このIDを非表示/違反報告)
スマトラ島のラフレシア - 杜爽さん» ありがとうございます……!(レスは間違いでしょうか?)応援いただけると頑張れる気がします!!沢山の褒め言葉を戴けて、ちょっと照れますよ!ありがとうございます。これからも面白いと言っていただけるような作品をお届け出来るよう精進して参ります!! (2015年8月11日 18時) (レス) id: db820b405d (このIDを非表示/違反報告)
杜爽 - 実紗封さん» 作者様!このシリーズ(?)とっても面白かったし、内容がとにかく素晴らしくて、これで終わってしまうのがすごくもったいないな~と感じてしまいました。゚(゚´Д`゚)゚。今までとても楽しく読ませていただきました!これからも応援してます!!そして頑張ってください (2015年8月11日 16時) (レス) id: 6baf7ec6df (このIDを非表示/違反報告)
スマトラ島のラフレシア - 実紗封さん» うわあああ質問ありがとうございます!!難しい問題ですね……笑 解答はしばしお待ちください! (2015年7月10日 17時) (レス) id: db820b405d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:スマトラ島のラフレシア | 作成日時:2015年6月19日 21時