【月刊少女野崎くん】気の利く女子高生は、修正担当アシでした。４

第１５４号 南階段の怪 前 ページ39

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夕方、暮れ。

静かな校舎。

南階段。


緊張して息を吐く。

今日、私はとある『噂』の検証のためにここにいた――。


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鞄を揺らさないようにしっかり持つ。

首を動かせば、問題の南階段が見える。が、この場所でじっとしていれば見えない、ベストポジション。

とんでもない貧乏くじを引いたものだと思いながら、それでも少し、ワクワクしていたり。

そう。私が一泡吹かせてやるんだ――

「……お、何やってんだA」

「え、ちょ、結月!?」

びっくりさせないで！

「なんかコソコソしてると思ったら、悪いことでもしてんのか――」

「しーっ!!結月、しーっ!!!」

「は？」

「もうっ」

物わかりの悪い結月の口を無理矢理塞ぐ。もごもご言っているけど、静かに、ね！と小声で言うとこくりと頷いておとなしくなったので、ここは潔く手を外してやる。

結月は私に尋ねる。

「で、何やってるんだよ」

「調査」

「は？」

結月がこちらに合わせて小声になってくれたので、ふう、と息をついて事情を説明した。

「結月は聞いたことない？『南階段の怪』。普段立ち入り禁止のはずの南階段なのに、たまに通りがかると物音とか笑い声が聞こえてくるんだって」

「へえ」

「最初は聞き間違いだろって言われてたんだけど、あんまり体験談が多いから、ちょっとした噂になってるんだよ。季節外れの怪談って」

「ふうん」

興味があるのかないのか判別がつかない相槌。様子を伺っていると、ふと目が合った。

「で、『調査』ってそれ？」

「え、うん……そうだよ」

「何でAがやってんだよ」

「……それは、ですね」

言いづらいけど、誤魔化しても意味がない。
野崎に言われてでもない。

「……昨日、うちのクラスの有志で集まって」

「うん」

「最後にやったゲームで、私負けて」

「何やって負けたんだよ」

「愛してるよゲーム」

「……おい」

「別に照れたとかじゃないのよ!?普通の男子に思いっきり真顔で『愛してるよ』って言われて吹き出しちゃっただけだからね!?」

「うわっAひでえ」

「酷くない。人選が悪い」

それで、とやや強引に話を戻す。

「罰ゲーム何にするかって話になって、一人が『じゃあ小田原噂確かめてこい』とか言い出して……なんなの……」

「……分かったけど確かめるってどうすんだよ」

「ああ、それはね」

噂によるとさ、と説明しようとした瞬間。


「あ、せんせい、A、何してんのー？」


学園の王子様が登場なされた。

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