【月刊少女野崎くん】気の利く女子高生は、修正担当アシでした。４

第１４３号 夢恋路の浪漫譚�鵺 ページ27

「……いやでも。こんなにしょっちゅう映画だの遊園地だの行ってるんだし」

「若松に言ってくれ」

あ、逃げたな。

「この間なんかねえ！結月がやたら薄っぺらい紙でぱたぱた顔をあおいでたから何それって聞いたら若と観る映画のチケットって……あ！その時がまさにこのシーンの手前か!?」

「よしそれ入れよう」

素早くメモする野崎。凄いなあ漫画家脳。

――習慣のようにデートするのも、わざわざデートに誘うのも、早くどうにかなっちまえと言わせるためのものでしかない気がする。

「また結月か若松君に実体験してもらえば？」

「若松が可哀想だから……」

またそれか。……でもさ。


結月に振り回されるの、若松君は言うほど嫌がってない気も――。



プルルルル


ん？と思ったら私の方だった。着メロとかやってみたけど趣味ばれそうだったからやめたんだけ、と割とどうでもいい方向に思考を働かせながら耳に当てる。……相手を確認しないのはいつものことだ。

「はい、もしも――」

『野崎先輩!!俺は今どういう行動を取るべきですか!?』

…………はい？

声からすると、若松君であることは間違いない。でも私、

「……失礼ですが野崎でなく小田原です」

『……え。小田原先輩……？』

「イエスイエス、アイム小田原A」

どうやら間違えたらしい。でも私、尾田さんとかとは間違えられたことあるけどさすがに野崎と間違えられるとは思ってなかったよ。亜愛でもあるまいし、さすがに小田原で電話帳の先頭ってことはないだろう。

『……すいません、な行と思ってたらあ行だったみたいです』

「スライドしたか。まあいいよ、それでは野崎に変わって小田原ですが、どうしました若松君」

若松、という人名が聞こえたのか素早く野崎が聞き耳を立てて寄ってきた。お前は忍者か。

『実は今、部活終わってすぐなんですけど、瀬尾先輩から映画に誘われて……』

……お？

『前に観た映画の続編みたいなので、観たくありませんって言いにくくて。まあいいですよって了承してしまったんですが、後で確認してみたら行く日はカップル割だから安いとか言われて……安いならいいんでしょうけど……』


映画。続編。そしてカップル割。


野崎に「書け！メモメモ！」とジェスチャーと口パクを送って、私は彼の相談に乗ることにした。

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