第236話・楽しいサッカー ページ48
鬼道はすれ違いざまに耳打ちをした。
「これはAのためにセッティングした試合だ。今日はお前も帝国イレブンだ」
「！」
帝国のグランドに入った時から鬼道の言葉に嘘偽りはなかった。
(嗚呼…本当…私ってバカだなぁ…子供に気を遣わせるなんて…)
父親との確執は未だ彼女を蝕むことはあるだろう。
けれど彼女はもう盲目的な彼らへの憧れも、あの男の娘としての嫉妬もなくなっていた。
帝国イレブンはライバルであり、
帝国イレブンの一員としている今のAの仲間でもあるのだから。
(いいのかな、私…)
帝国サイドへ戻っていく鬼道たちの背を見て一歩も踏み出せずにいた
彼女の肩をポンッと佐久間が叩いた。
振り向き佐久間を見つめる。彼は何も言葉を発さない。
Aに微笑みを向けてから、ただ真っ直ぐ帝国イレブンに見つめた。
「…ありがとう」
━━━━━━言葉はなくても通じる想いが、確かにそこにはあった。
彼のその想いを受け止めてAは帝国イレブンのもとへ向かった。
試合が再開される。残り時間はわずかデスゾーンの練習も含め雷門に得点はないが、
ただこの時Aが帝国イレブンとして活躍するのであれば時間は十分だ。
ドリブルで上がる豪炎寺からアフロディへパスが回され、
Aがパスをカットし素早く辺見へパス。辺見から鬼道へパスが回り塔子が立ち塞がる。
「�爛供Ε織錙辞瓠�」
必殺技が出る中、鬼道はノールックでAへバックパスを渡し寺門へパスを回した。
「Aすげー！」
Aのプレーと帝国イレブンが完璧にあっているのに感心する円堂。
彼女のプレーを近くで見ていた辺見は苦笑いを浮かべていた。
「…何で九重は俺らのパターン知ってんの？」
彼の独り言は誰にも聞かれることはなく風に流されていく。
鬼道は再びデスゾーンを指示し、ボールを高く上げデスゾーンが放たれた。
追加点が入った。立向居のムゲン・ザ・ハンド習得はまだ時間がかかりそうだ。
残り時間でデスゾーンを完璧にものにしたAたち。
雷門も果敢に攻め上がるが、帝国イレブンとAの息は恐ろしいほど
ピッタリで、本気を出してはいなくても彼女は「楽しいサッカー」を久しぶりに出来た気がした。
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活字不足卍(プロフ) - 若いうちにやってみたいことの一つとして、バンジージャンプがある。でも咄嗟に腰が引きそうw (2022年6月9日 1時) (
レス) id: 63abfde266 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりりん(プロフ) - 続きが読みたい!!(クソデカボイス) (2021年2月27日 15時) (レス) id: 9679665185 (このIDを非表示/違反報告)
田中優香(プロフ) - 楽しみ過ぎる(豪炎寺の復帰はアツいね) (2021年2月26日 1時) (レス) id: da5dc9d8d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：活字不足卍 | 作成日時：2021年2月26日 0時
