第157話・きみの瞳に勝利を誓おう ページ22
建物の視覚に入り、周囲に誰もいないことを確認した鬼道。
「A…いますぐ」
「帰れなんて、言わないでよ？」
「A…！」
鬼道が純粋に、私を心配してくれているのは分かる。
きっとこう言いたいのだろう。
━━━━━━さっきのは確実に影山の指示だ。
おまえを潰すために後半戦もそういう行動をデモーニオたちにやらせる。
二度とサッカーができないようにされるかもしれない。
「分かってる…。あの人の指示だって…」
「なら何故！？」
「今逃げても、これからも付きまとってくるものだよ。
━━━━━━有人…私はきみとは違う。血がつながった親子なんだから。
血の鎖はどこまでもどこまでも付きまとってくる」
「俺はっ…！ 俺は、おまえに…傷ついてほしくない……」
「…有人」
自身の胸の当たりをギュゥっと握る有人。
一歩半離れていた彼に距離を詰めて、そのゴーグルを外した。
「なにをっ」
「前半戦、どうして私が大人しくしていたと思う？」
「！」
有人の赤い瞳が私を貫く。
私に言われてハッと気づいたような顔をする。あははっ、面白い顔。
そう。普段の私なら、傍観は普通しない。
鬼道も佐久間も、不動も、円堂すらあの人に夢中で気づかなかった。
私はデモーニオたちを観察していた。
正直いうと、彼らは大したことない━━━━━━。
私一人でもなんとかできることは出来る。
「きみのこと…だいすきだけど…、一人娘としては、好きになれない。
でも割り切っている。あの人にとって、きみが特別なように…きみの中で、あの人が特別なことを」
「特別…バカなことっ」
「うんん、特別だよ」
でなければ、このゴーグルはあの人と決別した時から外すはず。
今までそうしなかったのは、あの人を教えを守っているとか、便利だからとか、
たぶんそんなんじゃない。
彼の中で今は整理がつかないだけかもしれないけれど、
有人の中では、影山零治という恩師は特別なのだ。
「……私は、ここから逃げない。
ちゃんと向き合う！ そうしなきゃ、私も前に進めない！」
「A……」
「きみの瞳に勝利を誓おう」
有人の外したゴーグルを渡す。
彼は受け取り、慣れた様子でゴーグルを掛け直した。
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皇(プロフ) - 一番最初から全部読みました。最高です。しかもまだまだ続く…！やっと追いついたので本日の一言も始めてみましたがとても面白かったです。これからも更新頑張ってください！✨ (2022年9月22日 9時) (
レス) @page38 id: 84ae00d6d7 (このIDを非表示/違反報告)
フラッペ(プロフ) - 本日の一言が好きすぎる (2022年9月14日 23時) (レス) @page23 id: 9679665185 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：活字不足卍 | 作成日時：2022年9月11日 16時
