転生者は、苦悩する Lv.1【イナズマイレブン】 (ページ31)

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第029話・チェーンバインドページ31

咲山のキラースライドを、大野と五条をループボールで交わしゴールの前まで持ち込む。

「来る！」
「いくぞ…！」

　必殺技を使わず強めにシュートを撃ちこむ。が、源田にセーブされる。

「…成る程。だが、さっきの方がパワーがあったようだが？」
「女一人にシュートを決められたいなら、本気でもいいけど」

　お互いに煽り合う。女だからと舐められているわけではないようだ。少なくとも源田はシュートを受けて私がまだ本領発揮していないことを察したようだ。

「本気で来い。次も止めるさ」
「…随分な自信だ。慢心は自分の足元を掬う」

　今の私のプレーで若干自身が付いたのか雷門イレブンが立ち上がり始める。だが源田から鬼道へ渡ったボールには誰も触れることが出来ない。

「ぐあっ！」
「うわぁあ！！」

　結局倒されるのがオチで、カットしてゴールまで持ち込むのを自分でやることになる。

「ハァアッ！」
「フンッ」

　必殺技を出さないと源田からゴールは割れない。
　ベンチでは、音無と秋が私のプレイに対し会話をする。

「九重先輩…大丈夫でしょうか…」
「ディフェンスもオフェンスも一人でやっているから、通常以上の運動量になるわ……足の怪我の方だって心配だし…」

「はぁ…はぁはぁ……くっそ……」

　思った以上に動くことになってしまった…。ここまで体力がなかったかな…？
　手首に巻いたリストバンドで額の汗を拭う。

「ここまでか」
「はぁ…まだまだ……"チェーンバインド"！」

　必殺技を叫ぶのは正直あまりしたくないが、気合だ気合。気合の問題だ。
　チェーンバインドは、地面から無数の鎖が選手に絡みつき一定時間動きを止める技。

「な、なにっ！」
「う、動けん！」

「九重が必殺技、チェーンバインドで佐久間、寺門の動きを止めた！ボールを奪い帝国陣内へ上がっていく！」

「行くぞ…！試合はまだまだこれからだ！」

　スピードを上げようと足を踏み込んだその時、電撃のような痛みが足に走りボールを明後日の方向へ飛ばしてしまい、更にはその場に座り込んでしまった。

「ああっと九重どうした？！その場にしゃがみ込んでしまったぞぉ？！」
「まさか足の怪我がっ…！」
「九重先輩！」
「A！」

　こちらへ駆け寄ろうとする円堂。

「何やってるバカッ！ゴールを離れるキーパーがいるか！試合はまだ、続いているんだぞ！」

　私の一言を聞いて彼はゴール前に留まった。