悪いな。 ページ32
ノーサイド
中島敦の脳裏に、血飛沫が舞った。
撃たれて横たわる、谷崎兄妹が見えた。
自分に、先刻の平賀Aのような行動ができるか。
答えは否だった。
中島「ッ……!僕だけじゃ、皆が…!」
芥川「然り。それが貴様の業なのだ人虎。貴様は、生きているだけで周囲の人間を損なうのだ」
忌まわしい、孤児院での記憶。
芥川「自分でも薄々気がついているのだろう?」
芥川の外套が、生き物の様に蠢いた。
立ちすくむ中島に向けて一直線に進んでいく。
だが、それは直撃しなかった。
地面が、抉られていた。
芥川「僕の【羅生門】は悪食。凡るモノを喰らう。抵抗するならば次は脚だ」
俯いた敦が、顔を上げた。
時間を稼ぐ、そう言ったのは自分だ。
敦「うわぁぁぁぁぁ!!」
芥川「玉砕か、つまらぬ」
叫びながら突進する彼に羅生門が迫る。
しかし彼は寸でのところでそれを避け、
芥川の後ろに滑り込むと、樋口の拳銃を手に取り、
芥川の背に向けて銃を乱射する。
弾切れになるまで、引き金を引き続けた。
だが、平賀が、何かに気づく。
カランと音を立てて、銃弾が地に落ちた。
芥川「今の動きは中々良かった。しかし所詮は愚者の蛮勇。僕の黒獣は悪食。凡るモノを喰らう。仮令それが、空間そのものであっても。槍も炎も空間が途切れれば僕まで届かぬ道理」
黒獣が迫る。それが中島の脚を食いちぎる寸前、
ザッと、芥川の前を、影が横切った。
芥川「…ほぅ」
平賀が、中島を後ろに隠すようにして、
平賀「お楽しみのところ悪いな。だが…」
混凝土片を片手に、しっかりと立っていた。
平賀「俺が相手だ、芥川龍之介」
、
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シラス(作者の別デバイス) - めろんさん» コメントありがとうございます!励みになります!! (2023年1月7日 13時) (レス) @page36 id: a7b57ade6c (このIDを非表示/違反報告)
めろん - んぎゃぁぁ…このお話大好きですッッ…これからも応援してます!!( *¯ ꒳¯*) (2023年1月6日 15時) (レス) @page35 id: 6bd235151c (このIDを非表示/違反報告)
シラス(作者の別デバイス) - 無花果さん» コメントありがとうございます!お名前を見た瞬間に芥川さんが浮かんだ作者です。更新頑張りますね! (2023年1月5日 12時) (レス) id: a7b57ade6c (このIDを非表示/違反報告)
無花果(プロフ) - あけましておめでとうございます!私女性なので男主は読みづらさと少し共感できないところが多かったのですが、とても読みやすくて面白くて、厨二病の演出に携帯見ながら爆笑してます!1月5日にBS11で4期始まりますね!更新応援してます! (2023年1月4日 19時) (レス) id: 2c86921cab (このIDを非表示/違反報告)
シラス(作者の別デバイス) - Ohataさん» 返信遅くなりました、作者です。コメントありがとうございます! (2023年1月2日 11時) (レス) id: a7b57ade6c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:(°∀。)シラスゥゥゥ!! | 作成日時:2022年12月19日 14時