Not Alone… (ページ21)

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不安ページ21

st黒

今日は雑誌の撮影。でも前と違うのは1人での仕事って事。…あぁ、嫌だなぁ。

仕事が嫌なんじゃない。あの出来事があってから“1人”が嫌なんだ。

マネージャーも気にしてくれてはいるけど、やっぱり落ち着くのはメンバーといる時。だからって、皆にも仕事やプライベートがあるからわざわざ付いて来て、なんて言えなくて。

「松村さん！スタジオへ移動お願いします！」

「あ、はい！」

元気の良いスタッフさんに呼ばれ楽屋からスタジオへ向かう。

なんか嫌な予感。誰かに見られている様な…。気にしない様にしても、全てを忘れるなんて出来なくて。

頭を振って気持ちを切り替える。

「お願いします！」

撮影が始まれば仕事モードに。ありがたいことにとあるランキングで殿堂入りさせて頂き、雑誌の撮影が立て込んでいる。

今日も3社続けての撮影のため1日中撮影だ。
撮影とインタビューの繰り返し。気合を入れないと。

「おっいいね〜。今度はこっちに体を向けてくれる？」

「こんな感じで良いですか？」

「そうそう！」

順調に進み、やっと最後のインタビュー。記者さんは俺と同年代くらいの若い男性。こういう人の方が話しやすくて良いんだよね。

「お疲れのところありがとうございます。あまり長引かない様にしますね。(笑)」

「すみません…ありがとうございます。(笑)」

「では早速…。」

最近仕事で嬉しかったこと、プライベートでのこだわり、今後やってみたい仕事…聞き上手な記者さんで話題が途切れることなく会話が弾んだ。

…でもなんだろう。この嫌な視線は。

顔を掻く仕草をするついでに辺りを見渡したがこちらに目線を向けている人物はやはり居ない。

俺の考えすぎなのかな。

「…松村さん？大丈夫ですか？」

「え、あ…すみません。」

「いえ…考え込んでいたんで。話題、変えましょうか？」

「…本当すみません。」

「大丈夫ですよ。」

優しい方で良かった。
予定より早めに切り上げてくれ、今日の仕事は無事終了。

心残りは、あの視線だけ。