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st黒


「おぉ。北斗じゃん。」

「あ、しょっぴーだ。」

「いや〜長旅は疲れるねぇ。」

「…ほんとね。」

「ん?どうした?」

「…なんでもない。」


用を足して手を洗っていると個室に入っていたらしいしょっぴーに声をかけられた。

…なぜだろう。不意に後ろからあの視線を感じる。
地方ロケだから流石にないだろうと安心してたのに。

でもしょっぴーに言う訳にもいかず、言葉を濁した。


「そ、じゃあお先〜。」


しょっぴーが出口に向かうのを見守るけど、視線の主はいるはずもない。

気のせいだと思えばいい。そう思って水道で手を洗うついでに顔を洗いトイレを後にする。

皆の元に戻るとちょうど康二くんと目黒が到着した様子で、支度が終わり次第ロケ地に向かうのとこと。


「大丈夫?」


俺の顔が深刻そうだったのか、慎太郎が小声で問いかけた。


「うん、平気。」

「何かあればすぐ言ってね。」

「分かってるよ。」


ゾロゾロと列を成してロケ地の廃校舎へ向かう。

こんなに大人数で歩いていたら顔バレするだろ、と思っていたが、田舎町に加え学校が廃校になるくらいだ、人になかなか出会わない。

よくこんな場所見つけたなぁ…。

公民館から5分くらい歩くと目的地が見えてきた。


「ここが今回の肝試しの舞台です!」

「…うわぁ〜雰囲気あるぅ。」

「…おばけ出そうだね。」

「それ言うなっ!!」


皆して呆然と廃校舎を見つめる。
思ったよりも綺麗な建物だが、夜が近づいてきて薄暗い中で見ると“廃校舎”という先入観からか鳥肌が立つ。

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作者名:あんこ | 作成日時:2022年8月7日 19時

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