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決まった作法とでも言うように、淡々と烏丸は野坂を席に案内した。特に茶や菓子などの準備が無いのは、先日野坂が自ら断ったからだ。
「娘さんは着々と回復していますよ」
「はい。何とお礼を言ったら良いのか…」
「僕は当然の行いをしたまでです。僕に対しての感謝の言葉は必要ありません」
烏丸は、開始数分で居心地の悪さを感じていた。高校一年生の少年が面会に来ると聞いていたのだが、雰囲気が一般的な青年のそれとは違っている。
「電話でもお話しした通り、彼女の今後についてお話を伺いたくこのような場を設けていただきました。ありがとうございます」
例えそれが、月光エレクトロニクスの悪事を暴き一躍有名になった人間であっても、想像とはかけ離れた像に驚くのも無理はなかった。
「彼女の面会にいらっしゃったそうですが、顔を合わせるのは久しかったのでは？」
「ええ、娘を以前の病院に送った以来ですね。私の顔を見て驚いた様子で」
「失礼ですが、彼女はお父様のことを覚えているようでしたか？」
「本当のところ、どうでしょう。娘からは何も言葉かありませんでしたので」
野坂はそこで、彼女がノートとペンを使用しなかったことに気がついた。ならば一方的に、父親から彼女に向けて言葉が伝えられたことになる。
「声を失っているのは昔と変わりませんでしたが、手の動きや表情の変化がはっきりしていて安心しました。本当に、野坂君のお陰です」
「…僕がずっとお父様からお聞きしたかったことなのですが、どうして彼女を地方の診療所に？」
そしてこの面会の目的の一つは、彼女が一人悲惨な状況で閉じ込められなければならなかった理由を知ること。
あの病室が脳裏に過る。野坂の視線が烏丸の目を鋭く刺した。
「実際に訪問しましたが、あの診療所は彼女の治療にはどう考えても適していなかった。アレスの天秤プログラムのデータベースから彼女の名が消えていたことも併せ、お聞きしたい」
「…後付けの綺麗事だと受け取られるかもしれませんが」
烏丸は真っ直ぐに伸ばしていた背筋を少し緩め、身を屈めるように膝に腕を置いた。野坂は表情を変えず彼の言葉を待つ。
「私なりの親心でした。もう怖い思いをさせたくはなくて」
親心。その単語に野坂は眉を寄せる。ここに来てまだ親を名乗るかと、野坂の中に以前からあった彼への嫌悪が顔を出した。
ラッキーカラー
あずきいろ
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かなり - 私、輝さんの小説が大好きでいつも読み返していて、勇気をもらっています！これからも体に気をつけて頑張って下さい！応援しています！ (2020年4月26日 20時) (
レス) id: 698341d95b (このIDを非表示/違反報告)
輝(プロフ) - かなりさん» 沢山のコメントありがとうございます！本当に励みになります(*^^*)かなりさんも、どうか体調にお気をつけて過ごしてください。 (2020年4月26日 18時) (レス) id: c19a41cb32 (このIDを非表示/違反報告)
かなり - この小説は、私を感動させてくれる小説です！この小説を作ってくれてありがとうござます！これからも体に気をつけて頑張って下さい！応援しています ！ (2020年4月20日 11時) (レス) id: 591368bcea (このIDを非表示/違反報告)
かなり - もお、続きが気になり、この後の展開が気になり過ぎて、ドキドキしながら読んでいます ！(≧∀≦)これからも、体には気をつけて、頑張って下さい！応援しています。！ (2020年4月14日 21時) (レス) id: 591368bcea (このIDを非表示/違反報告)
かなり - コメントありがとうございます。これからも頑張ってください (2020年4月10日 14時) (レス) id: dd5b3632db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：輝 | 作成日時：2019年8月8日 23時
