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休日のオフィス街は予想に反して賑わっていた。週末のたった二日間ですら仕事に当てるのが良しとされる世の中なのだと、野坂は既にうんざりした顔で歩いていた。
「付いて来なくても良かったんだよ」
「野坂さんだけに任せる訳にはいきません。せめて目的地までご一緒させてください」
隣で革靴の踵を鳴らすのは言わずもがな西蔭で、厚い肩と胸板はスーツ越しでもその存在を主張する。
同じようにスーツや会社の制服を纏った通行人で騒がしい歩道を進むと見えてくる、他のビルと外装に大差は無い全面ガラス張りの高層ビルが二人の目的地だった。
野坂は入り口を入ってすぐに掲げられたフロア案内板に目をやる。このオフィスビルの上層階を占めるのは烏丸財閥の企業ばかり。
目的の面会場所はその最上階だと聞いている。ネクタイを締め、三つ並んだエレベーターの真ん中のボタンを押した。
乗り合わせた人間は、この少年らがこことは無関係な高校生であることを知りもしない。丁寧に会釈をされ、二人は同じように頭を下げた。
一人ずつ、目的の階で下りて行き、二人が目指す最上階へ向かうものは誰も居なかった。長い上昇に野坂は腕時計に視線を落とした。沈黙が続く。
次に到着音が鳴り扉が開くと、黒いカーペットが敷かれた広間が二人を迎えた。重厚感のある暗いウッドの壁紙、シックな家具が並ぶ。
「野坂様でしょうか」
受付のようなカウンターから声が飛び、一人の女性が野坂に微笑みかけていた。昨日の電話で話した秘書だと野坂は目を細める。
「はい。彼は付き添いです、中には入りません」
「それでは、付き添いの方はこちらでお待ちください。野坂様、応接室にご案内します」
野坂は西蔭に視線を投げ、彼がそれに応えるのを見届けてから秘書の背中を追った。応接室の扉まではそう遠くなかったが、廊下を曲がったために西陰の姿は見えなくなった。
「どうぞ」
秘書は指の先まで整った姿勢で扉を開き、野坂を室内に案内した。デスクに腰掛けていた男性が立ち上がる。
「こんにちは、野坂です」
「やぁ、烏丸と申します。この度は娘のAの件でお世話になりまして…」
話を遮らないよう、秘書が背後で部屋を後にする。野坂は扉が閉まる音を確かめ、改めて笑みを浮かべた。
ラッキーカラー
あずきいろ
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かなり - 私、輝さんの小説が大好きでいつも読み返していて、勇気をもらっています！これからも体に気をつけて頑張って下さい！応援しています！ (2020年4月26日 20時) (
レス) id: 698341d95b (このIDを非表示/違反報告)
輝(プロフ) - かなりさん» 沢山のコメントありがとうございます！本当に励みになります(*^^*)かなりさんも、どうか体調にお気をつけて過ごしてください。 (2020年4月26日 18時) (レス) id: c19a41cb32 (このIDを非表示/違反報告)
かなり - この小説は、私を感動させてくれる小説です！この小説を作ってくれてありがとうござます！これからも体に気をつけて頑張って下さい！応援しています ！ (2020年4月20日 11時) (レス) id: 591368bcea (このIDを非表示/違反報告)
かなり - もお、続きが気になり、この後の展開が気になり過ぎて、ドキドキしながら読んでいます ！(≧∀≦)これからも、体には気をつけて、頑張って下さい！応援しています。！ (2020年4月14日 21時) (レス) id: 591368bcea (このIDを非表示/違反報告)
かなり - コメントありがとうございます。これからも頑張ってください (2020年4月10日 14時) (レス) id: dd5b3632db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：輝 | 作成日時：2019年8月8日 23時
