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ほとんどの人間が眠りについてしまった所為か静寂に包まれた大きな館の中を進んでしばらくすると、広々とした食堂に辿り着く。
「では、料理の方持ってきますので、しばらく此方で御待ち下さい」
そう言うと執事は扉の外へと消えていく。
大人しく長く大きい机に備え付けられた椅子へと腰を下ろす。隣にはコネシマ、向かいにはトントンといった席順。丁度空いていた隣の席へ、持っていた白杖を立て掛けておいた。
「なんか知らんけどまた飯食える」
「やった〜」
「さっき食ってたんでしょ？」
「食ってたらしいで。パーティーなら」
『そんな食べれるん？』
苦笑しながら意気揚々としているゾムに声を掛ければ「ま、粥らしいし余裕やろ！」と快活に笑った。
「Aだって結構食べる口やんな」
『ん〜進んで食べるというか、出されたら食べるってだけで』
「ゾムの食害耐える奴が小食とは言わせへんぞ」
『流石にそれは言わん』
そんな可愛らしい事言ってられる程自分の胃袋が小さいとは思っていないAは、すぱっと否定した。それを聞いたコネシマはゲラゲラと大口を開けて笑う。友人が楽しそうで何よりだとAは思った。
そんなこんなで運ばれてきた粥に、皆で執事へ感謝を伝えながら食べ始める。
Aも食べようとレンゲに手を伸ばしたが、掴み損ね床へと落としてしまった。急いで拾おうと床に目を向けたが、大理石らしい白い床と白いレンゲはAの視界では同化してしまい、見つける事が出来なかった。
『…シッマ、ごめん』
「ん？」
『レンゲ落としたんやけど、どこいったか分からんくなって…』
美味そうに粥を食べるコネシマの邪魔をするのは気が引けたが、自分の状態を知っている仲間内に頼む方が気が楽だった。そんなAの申し訳なさを毛ほども気にしていないのか「お、ちょお待てよ〜？」と文句の一つも零さずパッと立ち上がると、すぐにレンゲを見つけ出し「ほい」と渡してくれた。
『、ありがと』
「気にすんなて」
「新しいものお持ちしましたので、替えましょうか」
コネシマに渡されたものをそのまま執事へと渡し、綺麗なレンゲを受け取ってAはぺこりと頭を下げた。
そんなAを数秒見つめた後、執事はおずおずと話し掛けてくる。
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