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「…眠い。」
体育祭から約十日後、或は目を覚ますもまだ眠気に襲われていた。
今日は日曜日、学校もない。
「今日はずっと寝てよ…って…ご飯あったっけ…。」
眠い身体を引きずりながら冷蔵庫へと向かう。
ようやくたどりつき、冷蔵庫を開けると中は何もなかったかのようにすっからかんだった。
「…買ってこなきゃ…。」
或は財布を握りしめ、よろよろと外へ出た。
「…何あれ。」
現実か眠いせいの幻覚かはわからないが或の目の前には屋形船のコスプレをした少女が歩いていた。
「関わらないでおこ…。」
絶対変な人だ、そう思いながら目を合わせぬようそそくさと行こうとした。
「あー！あなたは体育祭でツナさんの隣にいた人！」
屋形船の少女は或を指さし、凄い早さで近づいてきた。
「ひっ。」
おもわず後ずさる或。
「あなた、ツナさんとはどーいう関係なんですか。」
少女はずいっと或に顔を近づける。
「え、えっと…沢田君のお母さんと一緒に来てた人…だよね？私は沢田君とはただのクラスメイトで…。」
或はしどろもどろしながら少女に関係を説明した。
「ふむ、ツナさんとは何もないということですね！安心しました！」
「そ、そっか、それならもう私は行くから…。」
或の説明を聞いた少女はぱあっと明るい笑顔を見せ、そんな少女を横目に或はさっさと逃げるために歩き出す。
「待ってください！これからツナさんのところへ行くので一緒にどうですか？」
少女は或の手を掴む。
「い、いや、私ただ食べ物を…。」
「いい？ありがとうございます！すぐ近くなんですよ！行きましょう！」
「ち、ちが…。」
或の声を都合のいいように解釈した少女は或の手を引っ張り、連れて行ってしまった。
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作者名：のらまる | 作成日時：2021年3月24日 23時
