陸話 ページ8
「し、しのぶ ちゃん/さん……」
後ろを向くと後ろに禍々しい何かを背負ったしのぶちゃんがいた。やば。
「竈門くん」
「は、はい!!」
しのぶちゃんは真っ黒な笑顔を炭治郎くんに向ける。普段の女神の様な雰囲気はどこにも無い。
「焦るのも分かりますが、まずは体をやすめてください。
体を壊してしまったら、出来ることも出来なくなってしまいますよ」
「はい、すみません……」
しのぶちゃんにそう言われて、さっきの勢いもなく落ち込んでしまった炭治郎くん。あ、なんか子犬みたいで可愛いかも――
「Aさん」
「ひぃ……な、なんでしょうか」
今度は私の方にその笑みを向けたしのぶちゃん。心做しかさっきよりも笑顔が黒いような気がするんですが。
「なんでしょうか、じゃないですよ。
治療に影響するかもしれませんし、無闇矢鱈に治療中の方に饅頭を与えるのは止めてください。
それに、起きていたなら私に声を掛けてくれても良かったじゃないですか」
「え、いやでも声は掛けようと――」
「返事は?」
「はぃ……」
怖い!しのぶちゃんが怖い!!絶対私にだけ当たり辛いと思うんだけど!?
しのぶちゃんは叱られて萎んでしまった炭治郎くんと私を一瞥すると、溜息を吐きながら言った。
「まあ、炭治郎くんは努力しようとしているのは素晴らしいことですし、
Aさんだって普段話しかけられることなんて皆無で余程嬉しかったのでしょうし、
次回からは気をつけてくださいね」
(やっぱり私にだけ当たりが強いと思うのよしのぶちゃん!!)
一通りしのぶちゃんのお叱りを受け、先に部屋に帰った炭治郎くん。それを見送ったあとしのぶちゃんにお礼を言って、私も帰ろうとする。
「あ、Aさん!これを」
玄関を出ようとした私を引き止め、しのぶちゃんが渡してきたのは――
「…………おはぎ?」
「ええ、不死川さんはこれが好物らしいです。
丁度沢山頂いたので、昨日のお礼がてら持って行ってあげてください」
「……と、いいますと?」
「貴女、これから不死川さんと任務が入っていますよ」
良かったですね!渡しに行く手間が省けて!!なんて笑顔で言ってくるしのぶちゃん。
否が応でも私と不死川さんを会わせるつもりらしい。
(やっぱしのぶちゃん怖い!!てか滅茶苦茶行きたくない!!)
1022人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あぶらげ(プロフ) - 黒豆粉さん» ありがとうございます!更新も遅れてしまいすみません (2019年11月30日 11時) (レス) id: 206dd23a10 (このIDを非表示/違反報告)
あぶらげ(プロフ) - りっつーさん» ありがとうございます! (2019年11月30日 11時) (レス) id: 206dd23a10 (このIDを非表示/違反報告)
黒豆粉 - ナニコレ…好きッッッッッ!!!!、!!!!続きが気になる!!!!!更新頑張ってください!!!!応援しています! (2019年11月24日 18時) (レス) id: a216a85358 (このIDを非表示/違反報告)
りっつー - ヤバい、好きっす (2019年11月11日 16時) (レス) id: 8fa946d002 (このIDを非表示/違反報告)
あぶらげα(プロフ) - あかさたなさん» ありがとうございます!嬉しいです!! (2019年10月22日 0時) (レス) id: 768a447251 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あぶらげα | 作成日時:2019年9月22日 14時