どうしようもないディスターブ『勇次郎』 ページ20
でも王子様は、小説の王子様はいつもお姫様のことを1番に想って最高に幸せにしてくれる
私は夢の中で十分なのだ
なのに、小説の中のような、綺麗に人が舞い降りてきたから。少し夢から覚めてしまっただけ
もう失敗はしたくない。期待なんかしたくない
……こうやって被害者ぶるのも私の悪いくせなのだ
染谷さんは不幸にも怪我をした被害者なのだから、それで優しくしてくれるだけなのだから、勝手に悪い人にして、なんて奴だろう私
だから神様は私に不幸を与えるんだ。当然だ。だってこんな性格の悪い奴が幸せになんてなれやしないんだから
「…………本気で、そう思ってるの?」
ぐい、と後頭部に手が周り、距離が縮まる
鼻先が触れ合い、あと少しで唇が掠めそうで息を思わず止めてしまう
染谷さんが何を考えているのか全くわからなかった
今でも、こんなに近い距離に居るのに何もわからない
「ねえ、A。……男を知ってる?」
「は、はい!?」
いきなりなんて質問をしてくるのだ
そんなの知るわけが無い。第1キスするまともにした事がないのだ
状況と思考がそういう意識をしだすと、体が熱を帯びてくる
染谷さんはまたふっと笑うと
耳を舐めた
「ひ、あぁ、……!」
「ん……可愛い……ねえ、その反応はさ、ないってことなんでしょ?道理でこんなに可愛いわけだ」
止めて、止めて、もう弄ばれるのは嫌なの
綺麗な人の餌食になるのなんて、嫌なの
「自分勝手……ねえ。そうだね、男っていうのはそんなものでしょ。好きな女を独り占めして自分だけのものにしてそばに置きたいんだと思うよ」
「……やっぱり、そうなんですね……」
過去の男の人を思い浮かべてズキン、と心が痛む
どこかで期待していた。現実の人だって、そんなひとばかりじゃないんだよって
染谷さんも、その中の一人なのだろうか
「そうか、そうなんだね。君は中々の不幸体質らしい」
「何が……分かるって言うんですか」
「分からないよ。弱ったな…でもその連中の目が節穴で助かったなぁ」
はい?
聞こうとした口は塞がれた
だがその唇は直ぐに離れ
目の前には怪しく微笑む染谷さんが居た
どうしてそんなことになったのか
彼が何を考えているのか益々分からなくなった
「確かに僕も君を狙ってた男のひとりだよ」
「……お金ですか…」
「だってそうでしょ?
名前も知らない、可愛い本屋さんに一目惚れしてたんだから」
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메이 - 全部読みました.ᐟ とっても面白かったです.ᐟ これからも頑張ってくださいね𓂂𓏸 (2022年12月9日 15時) (レス) @page49 id: 36c85dd659 (このIDを非表示/違反報告)
ソーダ(プロフ) - じゃすみんちゃさん» ひえ!全部!ありがとうございます嬉しいです(TT)更新頑張ります応援嬉しいです!! (2022年1月23日 2時) (レス) id: babb449235 (このIDを非表示/違反報告)
じゃすみんちゃ(プロフ) - 123全て楽しく読ませていただきました!最高です!次の更新も楽しみにしてます!頑張ってください! (2021年11月3日 16時) (レス) @page48 id: 97e0b8497b (このIDを非表示/違反報告)
ソーダ(プロフ) - 翔花さん» 全部読んでくださったのですか!?ありがとうございます!!コメントも頂けて作者は幸せです! (2021年8月12日 18時) (レス) id: babb449235 (このIDを非表示/違反報告)
ソーダ(プロフ) - 名前さん» 神......なんどありがたいお言葉……わたしよりもあなた様が神です……ありがたや… (2021年8月12日 17時) (レス) id: babb449235 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ソーダ | 作者ホームページ:
作成日時:2019年8月30日 2時