心地良い体温 ページ26
疲れてるだろうと
帰りの車はユウくんが運転してくれた
私が運転することなんて滅多にないんだけどね
「ごめんな」
沈黙を破ったのはユウくんだった
「なんで謝るの?」
何も悪いことしてないのに
「俺のせいで倦怠期なんかにさせてしまって…」
倦怠期…?
「倦怠期ってどういうこと?」
「倦怠期やろ?」
「いや、倦怠期じゃないよ!?」
「だって俺の事冷めたから素っ気なくなって…え?倦怠期じゃないん?」
ユウくんとの距離のとり方を間違えたせいで
変な誤解を与えてしまっていたようだった
「倦怠期やないってことは…俺の事嫌いになった…とか?」
「嫌い!?」
嫌いだなんてもってのほか
「大好きだよ!嫌いになってたらとっくに別れてる!」
「じゃあ…なんで?」
本人に言うのは恥ずかしい
でも言うって決めたから
「ユウくんが好きすぎて…止められなくなりそうなんだ」
ユウくんは黙ってしまった
「これ以上好きになったらユウくんと別れた時どうしたらいいか分からくなってしまいそうで、その一方でもっと好きになりたいって思う気持ちもあって」
だけど気持ちが溢れて言葉はとめどなくこぼれる
「どうしたらいいか分からなくて…」
信号が赤になり車が止まる
「もうええよ」
ユウくんは私の頭に手を置いた
「分かったからもう泣かんでええよ」
我に返り自分の頬に伝う涙に気づいた
気づいたら最後、ユウくんの手の温もりと相まって酷くなってしまった
涙は止まらなくて家に着いても流れ続けていた
止まれと何度も思ってるのに
ユウくんは私が泣き止むのを待とうとしていたみたいだけど一向に泣き止まない私を見て家まで運んでくれた
ユウくんの体温は自分には心地が良くて
あんなに止まらなかった涙のことも忘れ
いつの間にか寝てしまっていた
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作者名:ゆーや | 作成日時:2019年7月21日 11時