出会い【Meet with you…ARS】 (ページ5)

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「和くんは何のアルバイトしてるの？」

「ちょっとしたお手伝いしてるの。ちょっと、この体だと働くのが難しくて。お給料もらえたことは俺にとってはすごいことなんだよね。」

「そっか、和くん、頑張ってるんだね。」

まーくんは俺のこと褒めてくれたけど、そんなことないよ。

いろんな人に迷惑かけっぱなし。

街を歩けば悪態つかれることなんてよくあること。

はやく歩けない俺は横断歩道なんかにいたらすごく邪魔なのは分かってる。

そう言ったらまーくんは顔を歪めて言った。

「何言ってるの和くん。いいんだよ、自分なりにちゃんとすれば。」

なんか、いいこと言ってくれて、怖いことがあって不安定だった俺の心の隙間にすっと入り込んだ。

「ありがとうっ」

笑顔を作って言ったらまーくんは顔を赤くして、なんだか照れてるみたい。

面白くなって、熱くなったフライパンに上機嫌で卵を落とした。

「ふふふーん♪」

「和くん、楽しそうだね。」

「楽しいよー。誰かとお料理なんて初めて！」

と言いつつ、俺は足を庇いながら卵を落とすくらいしかできなかったけど。

いつもは座って料理するし。

椅子を用意してもらうなんて気が引けて言わなかった。

ぶっちゃけ、ちょっと杖なしだと立っているのがしんどい。

食器棚の淵につかまりながら、立っていると顔が固まっていたみたいで…

「大丈夫？疲れちゃう？」

フライパンに蓋をしながら聞いてくれる。

「平気だよ。」

「嘘つけ、さっきからよろけてるの気がついてるぞ。」

なんだ、なんかすごいわかってるじゃん。

じゃぁ、いいや、白状しよう。

「ん、じゃぁ、ちょっと、しんどい…」

俺がそう言うと、「やっぱなぁ、」といいながら、居間から椅子を引き寄せて座らせてくれた。

「目玉焼きだけじゃ物足りないし、なんか作るね。俺すごいんだから！見ててね。」

おどけて言うまーくんにニコリと笑って頷いた。

「楽しみ♪」

さっき出会った人とこんな風になれるなんて俺には珍しすぎることで、ちょっと自分でもびっくりしてるけど。

でも、今とっても楽しい。

るんるんとした気分でまーくんが料理している姿を見ていた。

「はい、出来たよー！」

まーくんはテーブルにお皿を運んでくれて、チャーハンを作ってくれたみたい。

目玉焼きとチャーハン。

まぁ、見た目はいいか。