出会い【Meet with you…ARS】 (ページ14)

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和sied

駅で助けてもらってから次の日。

大学は長～い夏休みに入っている。

高校時代は積極的な部活に入っていなかったからそんなに忙しい高校生活を送っていたわけではなかったけれど、大学生特有の時間の空きに少し戸惑う。

でも今日は病院だし。

暇な訳じゃない。

それに、普段もバイト入れてるし。

親からの仕送りもあるけど…

でも、やっぱり自分でも働かなくちゃ。

時間はあるんだもん。

家を出たのだって、親に迷惑をかけないため。

俺がいれば何かと気にかけなきゃならないことがたくさんあるから、俺が家を出ればそれも少しは減るかと思って、自立への一歩として一人暮らしを決意した。

間違っていなかったと思う。

親にはそれでも、心配かけるし完全に自立はしていないしで、寄りかかっているところはある。

それでも今日は独りで病院に行かなくちゃ。

１日経って大分痛みが引いた。

それでも、庇った右足の方だけ。

左足は痛い。

けんけんで進むけど、その振動が結構辛くて。

どうにかこうにか、いつもの倍以上の時間をかけて支度を済ませると家を出た。

「あら、二宮くん？お出かけ？」

「あっ、ちょっと病院に…」

家の外で大家さんにあった。

「足、怪我でもしたの？いつもは片足で立ってないじゃない。」

「あぁ、ちょっとやっちゃいました…」

「あら～、大変ねぇ。おばちゃんが連れて行ってあげようか？どうせ今から、薬もらいに行くし。」

有難い話だ。

甘えていいだろうか。

俺が迷った顔をしていたのだろう。

「もういいわ、乗るのね。」

いつの間にか決められていて、返事をする前に、大家さん特有の勢いで、あっという間に俺は車に乗せられていた。

なんか、こういうことがあるなら今のアルバイトも頑張って車の免許取ろう。

足が不自由でも乗れる車もあるし。

「近くの大学病院よね。」

「はい、そうです。」

俺と大家さんを乗せた軽自動車が発進した。

「やっぱり定期的に通っているの？」

「そうですね。行かないといけないです。」

静かだった車内に会話が生まれる。

「そぉー。独りで頑張っていてえらいわね。」

「いえ、そんな…迷惑かけてばかりで…」

大家さんも俺が頑張っていると言ってくれた。