出会い【Meet with you…ARS】 (ページ1)

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大通りの横断歩道はずいぶん賑わっていて…

いろんな人が行き交う。

俺も買い物をした袋を両手に下げてその横断歩道に並んだ。

信号が青に変わると一気に流れる人波。

俺もそれに押されるように進む。

ざわざわと色々な音に会話を聞きながら歩く。

あぁ、日常。

でもそんなことを考えて歩いて入られたのはここまで。

喧騒に似つかない「きゃっ！」という声が聞こえた。

後ろで聞こえたような気がして振り向くけど人の陰に隠れてよくわからなかった。

俺は無事に渡り終えると、何気なく後ろを振り向いた。

すると、見えたのは横断歩道の真ん中で座り込む男の子。

周りの人が立ち止まり、ざわめき出す。

「どうしたんだ、あの子は…」

「行った方がよくない？」

「えっ、でも…」

小さな悲鳴はこの子のものだったのだろうか。

信号は赤になろうと点滅を繰り返していて、人波は消えた。

けれど、立ち上がらない男の子。

いや、立ちあがれない男の子。

そばには杖が落ちていて、何度もなんども立ち上がろうとするけれど、バランスを崩して倒れ込んでしまう。

足が悪いのだろうか。

男の子の顔は焦りと不安を湛えていて…

近くには大きなトラック。

倒れ込んだ男の子はきっとトラックの車窓からじゃ、見えにくいはず。

突っ込まれたらひとたまりもない。

もう信号が赤になった。

俺は無意識のうちに両手に持ったスーパーの袋を手放し、男の子に向かって駆け出すと、杖を掴み男の子を横に抱くとそのまま折り返して、歩道に転げた。

プップーーーーー！！

大きなクラクションが鳴らされて危機一髪。

ギリギリで救い出した、男の子はまた俺の腕の中にいて静かに震えている。

怖かっただろう。

状況が理解できていないようで俺に縋るように俺の胸に擦り寄った。

「大丈夫？怖かったね。」

上がった息を整えながら頭をポンポンとしてあげるとハッとしたように顔を上げた。

周りの人間は男の子が助かったことに安心したのか散らばっていなくなった。

「お兄さん、ごめんなさい…」

男の子に目を向けると俯いて小さな声で謝った。

「いやいや、平気だよ。怪我ない？」

「ないです…あっ、卵…」

「卵？」

さっきまでいた車道を見ながら、寂しそうな目をする。

「初めての卵…」

初めての卵？

初めてのおつかい？