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そうして10か月が過ぎた頃、無事に赤ちゃんが生まれたのだと、父によって知らされた。
どうやら男の子だったみたいだ。
その子は『優』となずけられ、その一週間後には両親が生まれたばかりの弟を連れて、私の病室までやってきた。
生まれたばかりの赤ちゃんは、まるで人間ではないようで...。
病院に赤ちゃんはなかなか来ないし、実際に見る機会も少なかったので、とても珍しく感じた。
しかし、やはりというかなんというか、弟が出来たのだという実感は全く感じられなかった。

「どう?かわいいでしょう?あなたの弟なのよ。」

母は嬉しそうに尋ねてくる。

「うーん…、かわいい、かな?サルにしか見えないなぁ…。」

素直にそう答えると、二人とも同じ様にくすりと笑みを零した。

「あら、あなたもそうだったのよ?実はね、お父さんも生まれたばかりのあなたを見て『サルにしか見えん。』なんて言ったのよ?...ね、お父さん。」

父は照れ臭そうに頬を掻いた。どうやら本当のことらしい。
……そうだったのか。
私はちゃんと父の子だったらしい。
いや、別に疑っているわけではなかったのだけれど。

その日から、また母は毎日病院に通うようになった。
__傍らに、小さな弟を連れて。

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作者名:逢苑(Zn) | 作成日時:2018年3月20日 22時

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