-59 ページ9
.
.
.
だって、まさか、そんな、
嘘だ。
こんな事あるはずない。
だってジミンと私の間って
何にも知らない事ばかりで
同じ家の中でいつも部屋着で。
映画の途中で眠りこけてしまったり
勢いよく鼻をかんだり
そこに男女のそんなのなんて
なかったのが私とジミンだったはずで。
「A、待って」
広いリビングから出る直前で
あっさり引き止められてしまう。
背中に聞こえるジミンの声は
少し低くて何とも優しい。
それだけで心臓が騒ぎ出す。
「本当はもっと早く言うつもりだったんだけど、
Aにまた拒まれたらって思ったら怖くて」
声はどんどん近付いて
両肩がじわっと温かくなった後で
背後からしなやかな腕が
伸びて私の身体を包む。
「Aも俺の事好き、でしょ？」
ジミンの声も体温も匂いだけじゃなくて
ジミンの心も今までで一番近い。
耳元で響いたその質問は
答え難いなんてもんじゃない。
でも有無を言わさない言葉選びに
こんな時なのにジミンらしいなんて思った。
「ジミナ」
巻き付いた腕を優しく叩くと少し緩んだ。
だから変に緊張してはいるけれど
ゆっくり振り向くと
優しい表情のジミンと目が合う。
「Aも、って…ジミニは私の事好きなの？」
「それ…俺にちゃんと言えって言ってる？」
「そういう訳じゃないけど…
なんか濁されてる感じ、が？」
「じゃあ俺が言ったらAは言うの？」
もっとお互い色んな事を
先に話すべきなのに
こんな会話で時間が過ぎて。
縦だか横だか曖昧に首を振ると
ジミンは"何それ"と笑って
その直後に見た事のない表情に変わる。
忘れていたのだ
ジミンも男だということを。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1260人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
のぐり(プロフ) - pcmtpokさん» ありがとうございます。例え一人の人間として見ていてもジミン氏の魅力の前では少し怯んでしまう主人公にしたかったので、伝わってよかったです。最後まで読んで頂きありがとうございました😌 (2021年10月22日 22時) (
レス) id: 0deac69280 (このIDを非表示/違反報告)
のぐり(プロフ) - かこさん» ありがとうございます。数多くの人と出会っても自分が本当の自分でいられる人ってほんの一握りですよね。私も憧れる気持ちで主人公を描きました笑最後まで読んで頂きありがとうございました😌 (2021年10月22日 22時) (レス) id: 0deac69280 (このIDを非表示/違反報告)
pcmtpok(プロフ) - とても！、すきでした！！主人公の鈍感な感じと、恋心に気付いたけど相手が芸能人だから気持ちに蓋をする感じ…そしてジミンの闇から救うとか嫉妬深いところとかも全てすきでした… (2021年10月22日 5時) (レス) @page23 id: 3d87e6b98f (このIDを非表示/違反報告)
かこ(プロフ) - また素敵なお話ありがとうございました。女の子の空気感がとても好きです。私もそんな女性になりたいなぁ。とおもいながら読んでました。沢山の人と知り合っていく中で、本当に気楽に付き合える人って一握りですよね。そんなことを改めて感じました。お疲れ様でした！ (2021年10月20日 23時) (レス) @page22 id: 21092e6db4 (このIDを非表示/違反報告)
のぐり(プロフ) - Tentenさん» ありがとうございます。親戚の人のような気持ち分かります(笑)私も途中から我が子を見守る気持ちで書いてました。最後まで読んで頂きありがとうございました😌 (2021年10月20日 22時) (レス) id: 0deac69280 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：のぐり
| 作成日時：2021年10月16日 0時
