28 ガチ鬼ごっこ ページ29
ut｢あ"ぁぁぁぁぁあ！！！｣
『……(大先生、すまん)』
静かに手を合わせて心の中で謝った。丁度さっき何故か帰ってきたシャオちゃんが大先生だけ見つけて連れて行ったのだ。私が何故見つけられなかったのかは分からないが。
syo｢大先生っ。一緒に頑張ろなっ｣
ut｢首根っこ掴んでぶん回すなぁぁぁぁあ！｣
大先生が悲鳴を上げながら連れ回されているのを静かに見て上へと上がった。リアと一緒にいるせいかちょっと眠くなってきてうとうとし始める。ふわぁあ、と欠伸をするとリアが人型になり見張ってヨーカ、と首を傾げた。
『うん…。頼んだ…』
ri｢ん、お休み｣
私はゆっくり目を閉じるとどっと押し寄せてきた眠気に身を任せて眠りについた。
ri side
すやすやと眠るAの頭を撫でながらAの首にかかっているロケットペンダントを触った。そのペンダントを開けると中には可愛いく笑うAと控えめに笑う同じ位の背丈の青年がいた。
｢この時は俺が1番近かった存在だったのにな｣
頬を優しく撫でれば猫のように擦り寄ってくるAを見つめてため息を1つついた。Aはその人離れした身体能力のせいで周りから散々に罵られ挙句の果てには追い出された。然し彼女は追い出した奴らを恨まずに自分が悪い、と言う。
｢まるで…女神だよな｣
俺がまだ人型になるのもままならない時期。彼女は死にそうな俺を拾って優しく接してくれた。あぁ、何故Aはこんなにも優しく愛おしいのか。彼女は天から舞い降りた女神なのだろうか。
｢お前を、ずっと独り占めしたい…｣
髪を少し掬ってちゅ、と小さくキスをする。俺がこんなにも惚れ込むようになったのはいつからだろう。いや、会った瞬間から既に惚れ込んでいたのだろう。こんな感情は初めてだからどうしたらいいか分からない。
｢お前を守れれば…そばにいられるなら。｣
俺はゆっくりとまるで印をつけるように額にキスを落とした。
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作者名：ノエル・ウィール | 作成日時：2020年2月26日 19時
