検索窓
今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:271 hit

2 ページ2

青空が私を睨んでいる気がした。もしかしたら睨んでいるのは青空というよりも、道行く人ではなのかもしれない。まあ確かに、私のような人間は世界から阻害されたっておかしくはないだろう。
 今、私の学生鞄の中に入っている財布の中には、アニメのキャラクターのブロマイドが入っている。気持ち悪い、と言われるかもしれない。というか、言われている。けれど、アイン様は私の救いであり、誇りだったのだ。金髪の、男性にしては少し長めの髪。切れ長の目や、美しく歪むその唇。すべてが愛おしかった。そもそも、その辺の女子がアイドルの写真を眺めて喧しくしているのと、何が違うのだろうか。三次元か二次元かというだけで、その行為に向かう感情が、共感から嫌悪に変わってしまう。
 私はそれが嫌だった。自分を曲げてまで、この行為を嫌う女と付き合うくらいだったら、私は孤独でいい。ぼっちと言われようが、なんと言われようが。
 しかし、1人で過ごしてきて、もう17歳にもなってしまった。漫画では、このくらいの年齢の女子はみんなみんな恋愛をしている。だったら、私にだってやらせてくれたっていいじゃないか。
 1回くらい、青い春を過ごしてみたい。そんな願いは幾度も声にすらならずに消えていった。
 でも、私のような奴に、恋愛、なんて最初から無理な願いなのかもしれない。例えばあの春川さんだったら、何回も恋愛できると思うけれど。
 茶色がかった黒のふわふわの髪、大きい髪と同じ色の目。清楚すぎず、チャラチャラとしすぎず、その容姿は私の憧れだった。あんな外見だったらいいのに、と鏡で自分を見るたびに思った。
 ぱさぱさした真っ黒い髪。細くて醜い瞳。笑顔ですら汚く見える唇。神様は最低だ。私に恋愛をさせてくれない。
 それでも、どうしても私は青春がしたい。曇り空よりも、青空が似合う人間になってみたい。仄暗い生活よりも、彩りに満ち溢れた生き方をしたい。
 そうだ、だったら憧れに近づけば良いのではないか。春川さん。春川ももさんに近づいて、友達になれば、少しは可愛くなれる秘訣というものがわかるのかもしれない。
 それに、春川さんに友達がいる、というのを聞いたことが無い。私が友達になってあげたら、さぞ喜んでくれることだろう。そうと決まれば、早速あの人と仲良くなってあげよう。
 私は、なんだか善行を積んだような気分になった。

続く お気に入り登録で更新チェックしよう!

最終更新日から一ヶ月以上経過しています
作品の状態報告にご協力下さい
更新停止している| 完結している



←1



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 7.8/10 (4 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1人がお気に入り
設定タグ:シリアス , 現代 , オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:河原辺のの | 作成日時:2017年5月27日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。