2 ページ2
青空が私を睨んでいる気がした。もしかしたら睨んでいるのは青空というよりも、道行く人ではなのかもしれない。まあ確かに、私のような人間は世界から阻害されたっておかしくはないだろう。
今、私の学生鞄の中に入っている財布の中には、アニメのキャラクターのブロマイドが入っている。気持ち悪い、と言われるかもしれない。というか、言われている。けれど、アイン様は私の救いであり、誇りだったのだ。金髪の、男性にしては少し長めの髪。切れ長の目や、美しく歪むその唇。すべてが愛おしかった。そもそも、その辺の女子がアイドルの写真を眺めて喧しくしているのと、何が違うのだろうか。三次元か二次元かというだけで、その行為に向かう感情が、共感から嫌悪に変わってしまう。
私はそれが嫌だった。自分を曲げてまで、この行為を嫌う女と付き合うくらいだったら、私は孤独でいい。ぼっちと言われようが、なんと言われようが。
しかし、1人で過ごしてきて、もう17歳にもなってしまった。漫画では、このくらいの年齢の女子はみんなみんな恋愛をしている。だったら、私にだってやらせてくれたっていいじゃないか。
1回くらい、青い春を過ごしてみたい。そんな願いは幾度も声にすらならずに消えていった。
でも、私のような奴に、恋愛、なんて最初から無理な願いなのかもしれない。例えばあの春川さんだったら、何回も恋愛できると思うけれど。
茶色がかった黒のふわふわの髪、大きい髪と同じ色の目。清楚すぎず、チャラチャラとしすぎず、その容姿は私の憧れだった。あんな外見だったらいいのに、と鏡で自分を見るたびに思った。
ぱさぱさした真っ黒い髪。細くて醜い瞳。笑顔ですら汚く見える唇。神様は最低だ。私に恋愛をさせてくれない。
それでも、どうしても私は青春がしたい。曇り空よりも、青空が似合う人間になってみたい。仄暗い生活よりも、彩りに満ち溢れた生き方をしたい。
そうだ、だったら憧れに近づけば良いのではないか。春川さん。春川ももさんに近づいて、友達になれば、少しは可愛くなれる秘訣というものがわかるのかもしれない。
それに、春川さんに友達がいる、というのを聞いたことが無い。私が友達になってあげたら、さぞ喜んでくれることだろう。そうと決まれば、早速あの人と仲良くなってあげよう。
私は、なんだか善行を積んだような気分になった。
続く お気に入り登録で更新チェックしよう!
最終更新日から一ヶ月以上経過しています
作品の状態報告にご協力下さい
更新停止している| 完結している
←1
1人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:河原辺のの | 作成日時:2017年5月27日 11時