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健二郎「大丈夫や、
…大丈夫やで。
A、こっち見てみぃ？」
両手の指で目を抑えて泣く私に 強く優しい声でそう言われ、ゆっくりと縋るように健さんの顔を見上げると。
「…え。」
思いっきり変顔した彼がそこにいた。
健二郎「Aの泣き顔見たら 健ちゃんびっくりして変な顔になってしもうた」
「え？は、へぇぇぇ…？」
変な顔のまま変なこと言う彼に、思わず緊張が抜けるような声が出て、笑ってしまう。
健二郎「お、笑ったな？健ちゃんの顔見て笑ったなぁ？！」
「そ、な…笑いますよ、ズルい」
健二郎「初めてちゃう？」
「え、そんなこと…」
…そうかもしれない。
今まで 健さんのギャグ見て大っぴらに笑顔を見せたことなんてなかった。
なんで今、笑ったんだろう…
面白かったからと言うよりは、いつもと変わらない彼の様子に安心してた…。
健二郎「Aは泣き顔も可愛いけど、やっぱ 笑顔はその100倍かわええな。」
いつも私と話す時の、照れたようなしゃべりが抜けて。
ちょっとだけ真面目な、でもいつもと変わらない気取らなくて素直な健さん。
健二郎「その笑顔守る為なら、俺は何でも出来るよ。
Aの怖いもんから 全力で守ったる。
だから、そんな苦しそうに泣かんといて。
Aが泣き顔も笑顔も俺に見せてくれるようになったのはめちゃくちゃ嬉しいけど、Aが苦しんでる姿は俺、見たないねん。」
遠慮がちに、ゆっくりと健さんの手が私の肩を抱きしめる。
健二郎「俺の目が黒いうちは、Aの怖いもん、近寄らせん。だから、な？笑っててな？」
半年前までただひたすら苦手だった彼との距離が、今はこんなに安心する。
大切だと実感するほど、壊される恐怖に蝕まれそうになる。
でもこの体を包む健さんのパワーが その恐怖と闘ってくれているような、
心強くて切なくて、泣き叫びたいけど笑顔が溢れる…相反する複雑な気持ちが入り混じった。
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作者名：とまと野郎
| 作成日時：2014年11月22日 22時
