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「……。」
健二郎「あ、よ、よろしくお願いします、嗣永さん？」
桃子「ももちですっ！」
イヤホンをカッチリとつけ、集中しすぎているせいもあってハイテンションのももちの存在に気付いていないらしく、台本から目を離さないA。
そんな彼女の顔を覗き込んで笑顔のももち。
あーあそんな無愛想な奴に絡むのやめとけばええのに。
…しかしAは意外にもすんなりと顔を上げ、外面のいい、あの貼り付けた笑顔をみせた。
「香椎Aです、はじめまして。そのボード手作りですか？可愛いですね」
桃子「はぁいっ今日のために手作りしましたっ！」
「素敵です。」
桃子「ありがとうございまぁす！香椎さんもももちと同業者ですよね？これからも仲良くしてくださいねっ」
「同業者…？」
桃子「ももちも歌歌ってますよ！アイドルですっ」
「ああ、知ってます。可愛いですよね」
桃子「今日も可愛くて許してニャン」
「はい。大丈夫です」
桃子「…？」
「え、許してますよ？別に怒ってませんし」
桃子「え、へへっ、香椎さん面白ぉい！」
「面白…そうですか？嗣永さんも面白いですよ？」
桃子「ももちです」
「あ、はい、私はAです。」
桃子「Aりん？」
「…は？」
桃子「Aりん？」
「……。」
そこでAがギギギッと効果音が付きそうな勢いでぎごちなくこちらに視線を向けた。
なんやねんその顔、助けて欲しいんか？無理やで。
桃子「Aりんって呼んでもいいですか？」
「わっ、…え、わ、わい！」
健二郎(わい？)
桃子「やった〜Aりん！」
「は、はい、…ももちさんですね」
桃子「はい！ではももち次の楽屋に挨拶行かなくてはいけないので！また後で！」
「はい、今日はよろしくお願いします」
嵐のように出て行ったももち。Aは放心状態である。
今まで同年代の女の子といえばe-girlsぐらいしか接点がなかったのだろうから、ももちみたいな人はどう接していいのかわからなくなってしまったんやろか。
健二郎(にしても “わい” ってなんやねん)
そしてそれに突っ込むことなく肯定と捉えたももち何者やねん。
正反対のテンションの二人がこの後名コンビになるとはこの時はまだ思いもよらなかった。
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作者名：とまと野郎
| 作成日時：2014年11月5日 19時
