08 / 合格者 ページ8
またまた待機室へと連れて来られた私達。
人数も大分少なくなった為、室内は静かだった。
それでもまだあの人はいた。
「 あれ、アンタまだいたの？
あれだけ帰れって言ってあげたのに〜、
これから合格者発表だよね？
アタシの番号が呼ばれるけど、妬まないでね？」
語尾にハートでも付きそうな勢いで言って来たこの人。
さすがにその言い方は引きそうになるなあ、
なんて考えながら聞き流していた。
やっぱり私のことが気に食わないらしい。
「チっ、」と大きく舌打ちをしてスマホに目を向けた。
「 失礼致します 」
先程の様な真っ直ぐな声が響いて、
室内にいる人の視線が一気にそちらへ向く。
「 合格者を発表します。
"ジャニーズWEST"、新メンバーに決定したのは...
134番、海葉A。
以上、一名とする。
…海葉さんはこの後会議室まで来るように。
その他は速やかに帰宅すること。
それでは失礼致します 」
ガチャン、扉が閉まった後。
私は事の理解がまだ出来ずに呆然と立ち尽くし、
私の前にいたアイドルさんは鬼の形相を浮かべていた。
「 なんでアンタなの？！
アンタさえいなければ…、！！
呼ばれるのはアタシの番号だったのに！
...アンタ、会議室行くんじゃないわよ 」
はあ、またこの人か。
そう思っていたら、別の声が耳に入った。
「 あのさあ…、どこのアイドルか知らないけど
負け惜しみってすっごい醜いよ？
貴女はこの子に負けたの。
さっさと帰るよほら 」
と言って彼女を扉の向こうへグイグイと押しやって、
部屋から出したら私に向かって親指を立てた。
ぺこっ、と会釈をして
私も荷物を持って会議室へと向かう。
ただ事務所が広すぎるのか私が方向音痴なのか、
全然会議室に辿り着く気配は無い。
『 はあ、』
思わず溜め息が出たその時、
「 君、どないしたん？」
そう声が掛かった。
パッと顔を見ると、絵に描いた様な美形さん。
きっとこの人もスタッフさんか何かだろう。
そう思った。
『 あ、えっと...
会議室って、どこにありますか？』
「 ああ、会議室。
そこを左に曲がるとエレベーターがあるから、
それに乗って4階まで上がったらすぐやで 」
『 ありがとうございます...！』
「 いいえ〜 」
頭を下げてお礼を言ったら、
ふんわりと柔らかい笑顔で送り出してくれた。
…この人が誰だかも知らなかった私は
芸能人、とかそういうのに本当に疎いのだと
後に思い知ることになる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 300人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズWEST」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ｲﾛﾊ(プロフ) - シオンさん» コメントありがとうございます。1番なんて恐れ多いですが、本当に嬉しいです！ありがとうございます…！亀さん更新ではありますが、お付き合い頂けたら幸いです。どうぞよろしくお願い致します。 (2021年2月20日 18時) (
レス) id: c6ea372a6e (このIDを非表示/違反報告)
ｲﾛﾊ(プロフ) - 林檎さん» コメントありがとうございます。そう言って頂けて嬉しいです …！亀さん更新ですが、お付き合い頂けたら幸いです。どうぞよろしくお願い致します。 (2021年2月20日 18時) (レス) id: c6ea372a6e (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - 以前より読ませていただいています。1番大好きな紅一点小説なので更新されるたびにドキドキとワクワク、またどのような部分に新たな言葉が加わっているのだろうと楽しみで仕方がありません。これからも応援しています！ (2021年2月12日 1時) (レス) id: c0d520ec71 (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - この作品前に連載していた時から読ませていただいています！めちゃくちゃ大好きな作品で更新されるのがとても嬉しいです！頑張ってください！ (2021年2月12日 0時) (レス) id: 971f641812 (このIDを非表示/違反報告)
ｲﾛﾊ(プロフ) - 亜由美さん» コメントありがとうございます。亀さん更新ではありますが、お付き合い頂けたら幸いです。どうぞよろしくお願い致します。 (2021年1月25日 17時) (レス) id: c6ea372a6e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ｲﾛﾊ | 作成日時：2021年1月8日 0時
