俺の手が届く範囲にいろ。

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静かな部屋に居たくなくて俺は財布を持ってスーパーに行った。


宏「…っ」


飲み物の売り場で目に入るのは太輔が大好きなコーヒー。


そして、まるでフラッシュバックのように浮かぶのは太輔の後ろ姿。


耐えきれなくなり惣菜の売り場に行った。




けど、やっぱり目に入るのは太輔の好きな唐揚げと肉じゃが。


そして、思い出すのは太輔のあの冷たい声。


パンの所もお菓子の所に行ってもやっぱり目に入るのは太輔の好きな物で太輔のことが頭から離れなくて。



宏「よしっ！ちゃんと謝ろう」


そう決めて俺は無意識に太輔の好きな物だけカゴに入れてレジに向かった。


スーパーを出た時には周りは少し暗くなった。俺は走って太輔の家に向かった。





ピーンポーン


太輔が出てきたらきちんと謝ろう。



ガチャ、


咲「あら？宏光くん」


出てきたのは仕事終わりで咲希さん。



咲「どうしたの？中に入らないの？」



でも、この状況でいつもみたいに太輔の部屋に行く勇気なんてなくて。




宏「これ、太輔に渡してください」


スーパーで買った袋に『ごめんね』の意味も込めて咲希さん渡した。

咲「え？宏光くん！」



そして、俺は走って自分の家まで走った。



宏「はぁー結局謝れなかった」



このまま口効いてもらないのかな。

そんなことを考えながら家の鍵を出して開けようとした時



太「宏光！」



宏「え？」




振り向くと太輔が立っていた。


名前を呼ばれて、目があっただけなのについ視界が滲んでしまう。




宏「太輔さっきはごめんなさい」

そう言って俺は頭を下げた。


返事が怖くて頭を上げれないでいると突然足が見えて俺の頭に触れる優しい手。




太「なんで宏光が謝るの？」



宏「だって太輔を怒らせた」



太「謝るのは俺の方。ただの八つ当たり。ごめん」



宏「太輔は悪くないよ。でも、太輔に嫌われたらどうしよとか思ったら怖かった。家に居ても外に居ても太輔のこと頭から離れないし」



涙声になったけど太輔に気持ちが伝わってほしくて。



でも、太輔はふっと笑って


太「宏光を嫌いに思ったことなんて１回もないよ。自分でも嫌になるくらいに」



宏「俺も同じだよ。太輔のこと好きだか嫌われるのが怖かった」

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あずきいろ

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