俺の手が届く範囲にいろ。

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太輔が元気になる話題ないかな？

んー。面白い話せればいいんだよね？なんかあったっけな？



あっ！あった！



宏「太輔！最近玉に本貸してもらったんだけどすげー面白かったよ」

これでどうだ！




太「そうなんだ」


あれ？



宏「結末が賛否両論で俺と玉は『終わり方がよかった』って思うんだけどニカは『違う方がいいって』って言ってて…」



太輔「……」



宏「太輔も一緒に本読まない？ちなみにSシリーズの本は玉も俺もオススメ！」



太「なぁその話まだ聞かないといけない？」



宏「え？」


そう言った太輔の声はとても冷たかった。





太「玉、玉うるせよ」



宏「たい…すけ？」



初めてこんな太輔の冷たい声を聞いた。いつも優しい太輔がこんなに冷たい態度をとるのも初めて。




太「わりぃ用事思い出したから先帰るわ」





そういって俺の隣を通りすぎて帰ってしまった。



でも、どうしてだろう。



太輔は怒っているのにその後ろ姿がやけに寂しそうに見えた。



宏「やっちゃったな」


そういってその場でしゃがみこんだ。

なんで本の話になると自分勝手に話してしまうのだろうか。






宏「俺のばか」








太輔に笑って欲しかっただけだけど考えて見れば本に興味ない人からしたらつまらないよね。



宏「はぁー俺なにやってんだろ。太輔も怒らせたし。逆効果じゃん」


そして、ため息をつきながら一人で歩く帰り道。


太輔の家を通りすぎて自分の家に入った。



＿＿ガチャ




テーブルには母親が置いていった夕食代があった。


宏「今日も帰り遅いんだ」


静まりかえった空間にいつも以上に寂しさを感じた。


いつも太輔が傍にいてくれたから。

寂しい思いもしなくて。

今になって痛感してきた。



宏「俺、嫌われたかな？」


そう思うとじわりと視界が見えなくなった。


ダメだ。泣くな。


そんなことを思いながら頭を振って切り替えた。

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あずきいろ

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