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「あ!! 志摩ちゃん、志摩、志摩ちゃん!」
「なんだようるさい!」
「みかげって名字、三日月? 漢字!」

メロンパン号を運転する志摩は、ふと伊吹の視線の先に月があることに気が付いた。

まさかそれがきっかけで何かを思い出したとでも? と思ったが、伊吹にとって何がスイッチになるかはわからない。

「あぁ、それだな」
「思い出したわ。三日月(ミカヅキ)って……ミカちゃんのことだ」
「ミカちゃん?」
「ん? 何で志摩は三日月(みかげ)ちゃんの名字、漢字まで知ってんの」

これは面倒なことになる。
志摩はこれまでの経験から、そう感じた。
そして何より、変に隠せばどこに突っ込まれるかしれない。

志摩は深いため息をついて、分駐所の駐車場に車を停めた。

「彼女は、俺が捜査一課に居た頃、同じ捜査一課にいたんだ」
「えっ!? じゃあ志摩は前の同僚…」
「三日月と直接話したことはない。扱ってる事件が違って、組むこともなかった。ただ……香坂はなついていた」

香坂の名を出した途端に、伊吹の顔から笑みが消えた。話を聞くモードに入ったようだ。

「三日月は捜一の刑事にしては、優しく、穏やかすぎた。刈谷も俺も、正直向かないと思った」

けど、それは最初だけだった。

「次々に犯人を捕まえて、加えて他の課からも信頼を得ていく三日月は……接点のない俺から見ても、優秀な刑事だったよ」
「穏やかで、優しすぎる…」

これから分駐所に戻って飯と仮眠を取らなければならない。考え込む伊吹に声を掛けようとした時に、伊吹が唸るように言った。

「…違うんだよなぁ」
「ん?」
「ま、いいや。今は戻って陣馬さんの飯食って寝ようぜ志摩ちゃん! GO!」

車を降りて落ち着きなく志摩を待つ伊吹に、志摩は先程よりも深い深いため息をついた。

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ルーツ(プロフ) - イマツギさん» コメントありがとうございます! 書き留めていたものをちょくちょく投稿していこうと思っています! 一挙放送楽しみですねぇ(*^-^) (2020年12月28日 17時) (レス) id: 370884fb03 (このIDを非表示/違反報告)
イマツギ(プロフ) - 早く続きが見たいですね!更新頑張ってください! (2020年12月28日 3時) (レス) id: e522761e6b (このIDを非表示/違反報告)
ルーツ(プロフ) - みかさん» ご愛読していただいてありがとうございます…! 遂に三日月が自分でひいていた境界線を打ち消して一歩前進しました。この話、終わるまで長くなっちゃいそうです(笑)。気長にいきますね! (2020年9月12日 12時) (レス) id: 370884fb03 (このIDを非表示/違反報告)
みか(プロフ) - ルーツさん» 凄い、好き、好きです…!!(語彙力)ドラマは終わっちゃったけど、ほんと、、この小説好きで、ずっと続いて欲しい((。良かった、境界線は、ただの線だもんね…乗り越えられて良かった… (2020年9月6日 21時) (レス) id: 72afcfd334 (このIDを非表示/違反報告)
ルーツ(プロフ) - みかさん» そう言っていただけると嬉しいです…!! 遅いながらも暇を見つけてちまちま更新していくつもりです! まだしばらく暑いみたいなので気を付けないといけませんね…(苦笑) (2020年8月25日 20時) (レス) id: 370884fb03 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ルーツ | 作成日時:2020年3月9日 19時

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