ADVENT CRIMINAL【MIU404】

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非番の日､案内された部屋で天井を眺めていた｡

「葬儀は誰も呼ばない」

三日月が決めたそれは現実となった｡
粛々とただ事が進んでいくのを見ながら､黒のパンツスーツに身を包んだ三日月はソファに身体を沈めていた｡

火葬場独特の匂いに､どこか安らぎを感じて､彼女は目蓋を閉じる｡

今まさに､弟と父の身体が焼かれている｡

母は父と駆け落ち同然で家を飛び出した｡
裕福な家の長女として育った母は､親に婚約者を決められ､自由はないと知り､愛する人の手をとって逃げ出したのだという｡

だから､弟を見送るのも､父を見送るのも､もう自分だけなのだ｡最後の別れ､口から自然と出た言葉は【行ってらっしゃい】だった｡
返事が聞こえないとわかっているのに､それでも出てきたそれは､一体なんだったのだろう｡

自分のことすら満足に理解していないのだと､思わず三日月は笑ってしまった。
そんな折に､電話が鳴る｡

「東海林…?」

思わぬ人物からの電話に､三日月は応答ボタンをタップした｡

今日が葬儀であることは､木林と4機捜の面々以外には話していなかった｡

「はい､三日月です」
「あ､A! 異性間交流会､今日来ない? ミコト誘ったんだけど行かないって言われて」
「いせ…? あぁ､合コンか」

なんとなく､行ってもいいかな､と思った｡
東海林が一緒なのであれば､三日月は変に取り残されることもないだろう｡何より一人で居るよりも誰かと一緒に居たかったという理由もあった｡

「分かった」
「やっぱりね〜……ん? 来れるの?」
「東海林が誘ったんだろうに」
「意外だったの! そうそう､今日はね､公務員の人も来るらしいよ｡イケメンなんだって､いいときに当たったね〜」

電話越しだが東海林がどんな顔をしているかが分かる｡三日月は呆れたようにため息を一つつくと､待ち合わせ場所と時間を聞き出して電話を切った｡

三日月は異性間交流会､またの名を合コン､というものに行くのは実は初めてで､別段男女としての出会いを求めてはいなかったが為に､そちらの方の知識は無に等しかった｡

だから三日月は､保護者同然な桔梗にその事を送ったのである｡

【東海林と一緒に､異性間交流会に顔を出してきます】と｡

報告､連絡､相談｡相談すっ飛ばして報告である｡

連絡を躊躇っていた桔梗がそれを見て慌てて電話をした頃には､三日月は既に東海林によって着替えを終えていた｡

「葬儀から合コンって何!?」

桔梗の叫びは､誰も居ない執務室に消えた｡

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