転機。 ページ3
転機があったのは、入学してから一ヶ月が経った頃だった。
実技の授業において、私は後ろの彼とペアを組まされたのだ。
この実技の授業は男女混合であり、その組み合わせは教師が組む。
今回私は後ろの彼と当たってしまった。
そう碧眼の、色付きの彼に。
下の名前は知らないが、どういうわけか周りが桐島ではなくコネシマと呼んでいるので密かに私もコネシマくんと呼んでいる。
彼は恐ろしく何の感情も篭っていない目をしていたが、友人らしき青い髪の生徒といるときを一度だけ見たとき全く真逆の態度を取っていたので驚いた。
それ以来私はあまり彼に不用意に近づかない様にしていた。
おそらくだが、彼は女子と話すとき、一層冷たい目をするからだ。
そんな彼と当たってしまった。
私は幻術使いであるため、あまり戦闘は向いていない。
不安を感じながら自分の出番を待った。
遂に来てしまったのでしょうがなく舞台にあがる。
誰だこんな盛大な舞台を作ったのは。
まるでコロッセオだ、見世物じゃないんだぞ。
そんな文句を内に秘めながら私は杖を取り出した。
コネシマくんも同じように取り出していた。
随分高そうなデザインの杖だ。
一体いくらしたんだろう、そう思いながら開戦の合図を待つ。
発砲音が鳴り響いた。
私はすぐさまに紋を唱え、術式を展開する。
等身大の紋章と共に、私は消えたように見えたに違いない。
すぐさまステップバックし、移動しながら新たな術式を展開していく。
先程私がいた位置は抉れていた。
コネシマくんの魔法ま ぢ こ わ ぃ。
舞台を一周するような形で私は初期の地点に戻った。
コネシマくんは黙って佇んでいる。
「どこいったんや……」
始めて話しかけられた(？)のが戦闘中なんて死んでも嫌な記憶である。
しかし恐らく、幻術に気づいた上でコネシマくんは私の位置を探っている。
だが私の術はそう一筋縄ではないのだ、自慢では決してないが。
最後に呪文を唱え、私は姿を現した。
ずらりと私と同じ見目の人間が並ぶ。
私が先程移動しながら展開していた魔法である。
彼は眉を少し上にあげた後、素早く印を切って一番近い私に攻撃した。
だが当たらない。
なぜなら避けたからだ。
ステップバックと同時に唱えたのは一時的に身体能力を向上させる魔法だ。
闘いが魔法だけと思い込んでるやつは一度冷水を被った方がいい。
どんな方法であれ相手が戦闘不能になれば勝ちなのだ。
私は一斉に彼に殴りかかりに行った。
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作者名：にわとりチキン | 作成日時：2019年4月27日 9時
