結論。 ページ12
とても一年には見えない。
老けてるとかではなく、なんとなく雰囲気が大人びている。
「え、同じ学年なんですか。ごめんなさい年上だと思ってました」
「はは、よく言われます。だから敬語外してもらって大丈夫ですよ」
「んじゃエーミールくんって呼びますね。敬語で話されるとこっちもそれで返しちゃうんで敬語は許してください」
癖なんで、と笑うと彼も笑って頷いた。
「あ、ショッピくん待たせてるんでした。じゃエーミールくん、また明日も図書室お邪魔します」
「ええ、もちろん。さよなら桐ヶ谷さん」
にこにこ手を振る彼に私も手を振って、急いでホウキを取って走った。「あ、先輩きた。遅いから連絡しようとしてたんすよ」
パスを片手に校門に寄りかかるショッピくんに声をかけると、安堵した声が返ってきた。
「ごめんごめん、エーミールくんとばったり会っちゃって」
「まあいいですけど。さっさと帰りますよ」
「おけまる」
そう言ってホウキに跨ったのはいいんだが、そういえば家の方向は一緒なのか？
「私こっちだけど……ショッピくん家どっちなの？」
「あー逆っすね。気にしなくていいっすよ。送ってくんで」
「いや申し訳ないからいいよ？結構遠いし」
「流石にこんな時間に女一人はまずいでしょ。俺がコネシマさんに怒られます」
「心無いアイツに？びっくり」
「はは、確かにね。そういうことなんで素直に送られてください」
そう手を差し出された。
え、握るの？
「ちゃいますよ。鞄です鞄。持ちますよっていう手です」
恐る恐る手を伸ばしたのだが違ったらしい。
ショッピくんは愉快そうに笑った。
「手繋ぎたいんすか？」
「いやそういうわけじゃなくてね……後輩くんも中々先輩に似て性格悪いじゃないっすか？」
そう言いながら鞄を渡すと、彼は自分の鞄と合わせて肩にかけた。
「すんません、ちょっと揶揄いました。帰りましょか」
家の近くまで来たので鞄を返してもらう。
「じゃ、また明日もよろしくお願いします、ショッピくん」
「はい。んじゃ失礼しまーす」
ピッと敬礼しながらショッピくんは来た道を引き返して行った。
後輩が先輩である私に気を配りすぎて、面目無い。
結論からいえばショッピくんはスパダリだったのだ。
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作者名：にわとりチキン | 作成日時：2019年4月27日 9時
