興味。 ページ2
組んでいた足はそのままに声の元に視線を向ける。
スタスタと歩く足は驚くほどに長く、一歩一歩の作業が上品である。
加えて輝く金髪に上等の証である色付きの目。
間違いなく上流の者だ。
そしてその美貌。
観客席は全員が彼に釘付けだった。
どうやら彼は内部生の中では有名なようで、時折甲高い声で名を呼ぶ女子生徒が大勢いた。
グルッペン様、というのは分かる。
統帥様、と呼ぶのはいやはやおかしなように思えた。
彼はまだ一生徒である。
確かにヒューラー(統帥)と名に入っているが、女子生徒たちを見る限り、本当に統帥に会っているかのような態度である。
私たち入学生は、その雰囲気に気圧されながらも、しかし特異な存在感を放つ彼から目を逸らすことが出来ずにいた。
かく言う私もその一人ではあったのだが、次に彼が発する言葉に萎えて、もう一度目を瞑った。
「私は戦争をこよなく愛しています」
その一文だけでなんだか彼に興味が失せた。
間。
いつのまにか入学式は閉式するようで、閉式のアナウンスで目が覚める。
適当に拍手をした後、指示通りの教室に向かう。
あらかじめもらったパスに目を通すと、私はC組らしかった。
パスに浮かぶ地図を目で追いながら足早に目的の教室へ急ぐ。
幸いにも同じように慌てる生徒はいたので、心に安堵が生まれた。
無事着いた教室で再度パスに浮かぶ席順を見ながら自分の席を探した。
私の後ろにはもう生徒がいたらしい。
暇そうに本を読んでいる。
焦っている様子ではないことから内部生のようだ。
にしても金髪に碧眼…そして美形だ。
グルッペンなんちゃらとはまた違ったタイプの美青年である。
こいつもハイスペックか、と苛立ちはしたが、顔はもう魔法を施してあるので動くことはない。
今頃淡々とした顔で席に着いている筈だ。
私が座ると、後ろで少し動く気配があったが、それだけだった。
どこの学校でも内部生と入学生の間にはどこか溝がある。
それを埋めようとも思わないので、お互い話しかけることはなかった。
彼の素っ気なさは私にとって割と都合が良かったのだ。
にわとりの戯言
色付きについて
人類の大半の目の色が黒一色となった世界で、目が黒以外だとそれほど魔力が強力ということ。
このとき主人公が見たグルッペンの瞳は燃えるような朱だった。
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作者名：にわとりチキン | 作成日時：2019年4月27日 9時
