埼玉合宿 最終日 ページ41
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「では、これから
好きとは何か…についての会議を始めたいと思います」
みんなが焼肉をしている場所から移動し、私たち三人は体育館の裏まで来ると、神妙な顔つきで菅ちゃんが司会進行を始める。
いや、会議ってなんだよ。
烏野っていつもこんなんなのかと一人で対処しようとツッコんでみるが、二人がボケの渋滞を作るため、私は全てを諦めて会議に参加する。
「影山はイッチーのどこを見て好きだなって感じる？」
「…具体的にはわかんないんすけど、なんか好きっす」
「ねぇ。これ私すっごい恥ずかしいんだけど」
普通本人がいない所でやるよね？と再度飛雄と菅ちゃんに聞いてみるが、こういうのは話がこじれる前にみんなで話し合おうと、何の関係もない菅ちゃんが自信ありげにしゃしゃり出る。
「あ、じゃあ一緒にいると楽しくて
いつの間にか笑顔になってるとか」
「黙ってても面白い人なんで」
「どう意味だコラ」
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「無意識に目で追ったり！」
「Aさん小さくて目立つんで」
「小さいは余計でしょ！！」
その後も何問か菅ちゃんの質問に飛雄は的確に答えていくが、聞いているうちに埒が明かないことに気がついたのか、よしっ焼肉戻んぞ！とずんずん先に行く菅ちゃん。
飛雄が中学の時から知っている私でさえ、飛雄が何をしたいのかわからないのだから、菅ちゃんも当然わからないだろう。
「…」
この会議を開いた司会進行が、好きってなんだろう…と切ない顔をして消えていくのをなんとも言えない気持ちで眺め、私はじゃあさ…と飛雄に向き直る。
背伸びして飛雄の耳に近づき、とても簡単な方法でわかると私が言うと、飛雄は不思議そうに私の身長に合わせて耳を傾ける。
「飛雄、私にキスしたいと思う？」
「は、？」
飛雄の耳に手を添えて、昨日教えてもらった浅知恵をそう自慢げに言えば、飛雄は目を大きく開いて動きを止めた。
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作者名：西川あや | 作成日時：2024年2月21日 11時
