埼玉合宿 4日目 ページ32
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「っ氷嚢作ってきたぞー！！」
そう言って海と夜久が登場すると、はよ冷やせ！と私の手首に氷嚢を雑に当てる。
「おまえ、なんでそうやってすぐ隠すんだよ」
「あはは、」
私の手を冷やしながら怪我の様子を見る夜久は、食堂のおばさん達がAちゃん怪我したの！？ってテンパってたぞと教えてくれる。
次会ったらちゃんと無事ですって報告しなきゃなぁと、私がふざけて買った変な柄の氷嚢を見ながらのんびり考えた。
「烏野のマネの子が気にしちゃうから、
痛いって言えなかったんだよな」
本当に優しいねAはと、子どもを褒めるみたいに頭を撫でる海に、それでも俺たちには隠す必要は無いだろと夜久が言い返す。
「ったく！無理すんなよ！」
こんな細い手首で折れてないか…？と黒尾と全く同じ心配をする夜久は、筋＆飯トレでも始めるかと息巻く。
しゃがむ私の周りを囲むように屈む三人を眺めると、二年の頃、鼻血を出して保健室に行った時のことをふと思い出した。
「…もう1年前なのか」
少し笑って私がそう呟くと、海は何の話だと首を傾げ、夜久はこんな状況で何笑ってんだとキレる。
しかし、黒尾は同じことを考えていたのか、そんな私に笑いながら同意し、あったなぁそんなことと懐かしむような表情を浮かべた。
「昨年の夏、似たようなことあったろ」
「あー。Aがボケっとしてて鼻血出したヤツ！」
ちょっと悩みごとしてたらボールが顔にあたって、鼻血出ちゃったんでしょうが！と、失礼な夜久の言い方を逐一正す。
どうせ大したこと悩んでねぇだろと煽りながら笑う夜久に、痛くない方の手を使ってグーパンすれば、夜久の体幹が強すぎてしゃがんでいた私の方が反動で後ろに倒れてしまった。
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「この後、直井さんに病院連れてってもらうぞ」
「そんな、大袈裟だって」
「なんか言ったか？」
「…いいえ何も」
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作者名：西川あや | 作成日時：2024年2月21日 11時
