埼玉合宿 3日目 ページ26
・
「えっと。それって、告白？」
「いや、あ、…告白っつーか」
知ってて欲しかっただけです。
付き合ってほしいとかじゃなくて…と、自分でも言っていて意味がわからないのか、頭をガシガシ掻く飛雄に、私は言葉を失って更に混乱する。
「…な、何言ってんのまじで」
そういう人種なの…？と一風変わった告白に驚いていると、じゃあ俺は試合あるんでとスタスタ歩いて消えてしまう。
その場に取り残された私はどうしていいか分からず、ふらふらと上の空で食堂へ向かった。
◇
いつも通り自主練が終わり、ご飯を食べてお風呂に入った私は、みんながトランプで盛り上がる中、こっそり勉強のために空き教室に向かう。
一昨日、部屋で勉強をしようとした時、みんなが声のボリュームを落としてくれたり、電気をつけたまま寝ると言ってくれたりと、あからさまに気を使ってくれるので、私は森然の監督に許可をとり、特別に空き教室を借りた。
「っよし、やるぞ」
自分に喝を入れて英語の過去問とノートを開き、時間を測るためにスマホを使ってタイマーを付ける。
熟語や短文の穴埋めをやったり、アキラとテレサ、ジェネディたちが慈善事業のために集める資金で揉める様子を読んだりしているうちに、あっという間に時間は過ぎる。
再度、解説を全て読んでから間違えた問題をまとめた私は、ふーっと軽く息を吐いて肩の力を抜いた。
・
軽く休憩を入れようか迷うが、教室の時計を見ると22時55分を指していて、寝るまで時間もないし詰め込むかとペンを持ち直す。
今日一日、飛雄のことを含めて頭を使いすぎたせいか、キリキリと頭痛がしてきて、額に手を当てながら問題を解いていると、ガラガラと教室の扉が開く音がした。
「っ、…びっくりした。 なんだツッキーか」
驚いて私が顔を上げると、そこには同じく驚いた顔をするツッキーが立っている。
「……あの、やめてくれませんか
そのツッキーっていうの」
先輩なのであまり強く出られないのか、少しだけ顔を顰めながらそう言うツッキーは、私が驚いた勢いで落としたシャーペンを拾って、机の上に広がる過去問を見る。
「…これ、」
勉強中だったんですね。すみませんとすぐに謝るツッキーに、どうせ烏野の部屋がうるさくて逃げてきたんでしょと笑えば、ツッキーはこくんと頷いた。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 581人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：西川あや | 作成日時：2024年2月21日 11時
