埼玉合宿 2日目 ページ22
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「A、頼みたいことがあるんだが、
ちょっといいか？」
自主練だー！と騒ぐリエーフに、あなたは今日夜久のところだよと笑っていると、直井さんにそう声をかけられる。
「なんですか？」
「今日撮ってくれた対梟谷の動画、
今晩中に猫又監督と確認したくてな」
分かりました。動画が始まる時間まとめますねと了承すると、悪いなと申し訳なさそうにする直井さんは、優生と走、球彦の練習のためにコートに向かう。
そんな三人の練習を見て時々声をかけながら、私は体育館の隅で動画を早送りしながら止めて、メモして…というのを繰り返す。
数十分後、やっと終わってメモした紙を直井さんに渡し、まとめてビブスを洗う雪絵とかおりを手伝った私は、いつもよりだいぶ遅れて第2体育館に向かった。
◇
「あれ、今日もツッキーがいる！」
「ツッキー…？」
第2体育館に入ると、ツッキーが黒尾と一緒にブロックを飛んでいて、思わぬ人物に驚いてそう声を上げる。
私に気がついた黒尾がおつかれさんと声をかけると、ツッキーっていいな…と閃いたように呟く木兎。
ハッとして口を塞ぎ、何となくこの後の流れを察していると、瞬く間にツッキーはさ！ツッキー！ツッキー！と呼びまくる木兎と、それに黒尾が悪ノリした。
「さすがにごめん。」
「許しません」
山口くんがそう呼んでるの聞いて、可愛かったもんだから心の中で呼んでたつもりだったんだけど…と私が言うと、今朝から時々口に出てましたよと呆れるツッキー。
「今日も無理矢理付き合わされてんの？」
そうツッキーを心配して聞くと、いえ。と想像と違った返事が返ってくる。
ツッキーはその後もブロック練をひたすらやりまくり、黒尾のアドバイスを真剣に聞き入れた。
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「ここら辺で一旦休憩しよ！」
昨日とは別人のように自主練に打ち込むツッキーの姿に驚きながら、そろそろバテそうだなと様子を見て三人に声をかける。
ボール拾っといてあげるから水飲みな〜と籠を押しながら歩いていると、水を飲みながらこちらに向かってくる黒尾。
「驚いたか？」
「うん」
赤葦と木兎と話すツッキーに向かって、誰あれ？とふざけて指さすと、ツッキーは殻破ったら別人になるぞとニヤついている。
一体彼に何があったのかと聞くと、黒尾と木兎に聞きたいことがあると、あのツッキーが自ら第2体育館に訪れてきたらしい。
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作者名：西川あや | 作成日時：2024年2月21日 11時
