埼玉合宿 初日 ページ17
◇
「Aー！第2体育館来いよー！」
本日の行程が全て終了すると、自主練の時間がやってくる。
ビデオカメラの動画確認をしている私に、木兎は先言ってるぜ！と叫び、その隣の赤葦が私にぺこりとお辞儀する。
ねぇ私夜久にもこっち手伝えって言われてるんだけどと近くにいた黒尾に文句を言うと、ちょっと顔を出すだけでもいいからと返される。
「アイツ、Aが来なかったら超めんどくさいんだよ」
呼べ呼べずっと言ってくるし、ブロックされる度にAがいたらなーとか言うし…と、誰が相手でも世話を焼かされている黒尾は今回はリエーフも一緒だと笑う。
「リエーフも強制送還なんだね…仲間だ」
「はい！でも夜久さんのとこでレシーブ練するよりは！」
黒尾さんは俺が倒れたら一旦止めてくれる！とにっぱり笑うリエーフに、夜久は倒れても止めてくれないもんなといつもの練習を思い出す。
私はちょっと顔出したら夜久の方に行くよと宣言し、数十分後に第2体育館の扉を開くと、既に赤葦と木兎がスパイク練、黒尾とリエーフがレシーブ練をして待っていた。
・
「A！今の見てた！？」
「ナイスキー木兎、良いコースだね」
しばらくの間、リエーフのレシーブのフォームを撮影したり、散らばったボールを拾ったり、木兎に声をかけたりしていると、リエーフがぶっ倒れて黒尾が仕方なく動きを止める。
「なー黒尾！今のうちにブロック飛んで！」
「俺は今忙しいの。
外探せばミドルくらいいるだろ」
私が横たわるリエーフをちょんちょん突ついていると、ムクリと顔だけ起こすリエーフが死にそうになりながら、水…と口を開く。
リエーフのドリンクを走って取りに行き、ピューっとリエーフの口に向かって水を噴射させれば、リエーフは寝ながらがぶがぶ水分補給した。
「Aさんがいてくれてよかったです…」
「そうだね〜」
床にへばりながら笑うリエーフを見て、動物みたいで可愛いな…なんて考えていると、黒尾と木兎、赤葦が扉の外に居る誰かと話している。
今度は誰が犠牲者になるんだろうと楽しみに扉を見ていると、私の因縁である眼鏡くんが入ってきた。
◇
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 581人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：西川あや | 作成日時：2024年2月21日 11時
