【ハイキュー】音駒の3年マネージャー① (ページ20)

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東北遠征ページ20

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「研磨の友達、凄かったね」

「…翔陽のこと？」

片付けの最中、しんどそうに歩く研磨に話しかければ、犬岡とその子がはしゃいでいるのを眩しそうに眺め始める。

そうそれショーヨー！と思い出したように手を叩き、太陽みたいな名前ってことは覚えてたんだけどとどうでもいいことを話せば、うんすごいよねと珍しく共感する研磨。

「研磨も計6セットよく頑張ったじゃん！」

きっとこの後、飛雄が色々聞きに来るよと丸まった背中をグリグリ押せば、研磨はゲッソリした顔でどこかに身を隠そうと動き始める。

「あ、待って私も」

どうせなら片付けをサボろうと、研磨の後を追いかけて走り出せば、突如後ろから回ってきた手に私はうぐっと喉を詰まらせる。

「ちょっ死ぬ死ぬ」

「なーにサボろうとしてんの、Aﾁｬﾝ」

馬鹿なこと考える暇があるなら手伝おうかと、とても最悪なタイミングで黒尾が現れ、どうやら私の考えなどお見通しだったらしく、こちらを見て笑う黒尾はズルズルと私を引きずって歩く。

「なんっで私だけ！研磨は？！」

そう暴れながら周りを見ると、そそくさ体育館の端で一人モップをかけ始める研磨が見えた。

◇

体育館の片付けが粗方終わり、他の部員がコミュニケーション交わしている間に、私と潔子ちゃんはボトルを洗う。

「じゃあ私、片してきちゃうね」

「ありがとー！」

2人で全て洗い終わると、洗剤やブラシを貸してくれていた清子ちゃんは、そう声をかけてから烏野の荷物置き場へ洗浄セットを置きに向かった。

・

「っあ！あの！！」

ただ待ってるのも申し訳ないし、籠を運ぼうと手をかければ、後ろから大きな声で話しかけられる。

また何かやらかしたかな…なんて恐る恐る振り向けば、相手チームの虎と同族らしき男子が私に向かって直立していた。

「あ、2年の田中くん…だよね？」

どうかした？と不思議に思って首を傾げると、昇天したようにフッと倒れたと思えば、数秒で息を吹き返し、田中くんは鼻息を荒くして私に手を差し出す。

なんだこの手は…と探りながら固まる私を他所に、田中くんはスゥッと息を吸って、覚悟を決めたように声を発した。

「っお、お荷物を！持たせていただけませんか！」

…なんだコイツ、めっちゃおもしろいな。

◇