県立烏野高等学校、事務職員です。【２】

060　骨牌 ページ10

「トランプしよーぜ！」

　「うおおおお！ やりたい！」

　「寝ろ、明日練習試合だぞ」



　練習試合の前日、練習、晩飯、風呂、ミーティングも終えあとは寝るだけの部員たち。

　だが、寝るには少し早い。時刻は21時10分、皆部屋でそれぞれくつろいでいた。

　身の回りの世話はマネージャーがやってくれるため、自身の洗濯や洗い物に追われることはない。

　だからこそ、暇を持て余す輩もいるのだ。

　その輩の１人、田中が声をあげた。

　それに反応するは、西谷、日向、いつものメンバーだ。

　対して主将の澤村は彼らに寝ろと一喝。

　彼らの普段の行いのせいだろう。



　「まあまあ、大地。まだ21時過ぎだよ？ たまにはいいじゃん」



　俺もやりたい、と澤村を宥めるのは副主将の菅原。

　今まで澤村と明日の練習試合について話し合いをしていたが、それも終わりトランプに賛成していた。



　「……はあ。あんま夜更かしするなよ」

　「やったー！ よっしゃトランプやる人ー！」

　「はいはーい！ はーい！」

　「ほんと、体力だけはあるよねえ」

　「体力だけってなんだ！ お前らもやろーぜ！」



　練習後だというのに、元気が有り余る彼らを見てげんなりする月島と山口。

　日向の誘いをイヤと一蹴する月島に対し、山口は少し参加したそうだ。



　「俺、やろうかな。ツッキーはやらないの？」

　「ボクはいい」


　月島は携帯をいじったまま答えた。

　山口はそっかとだけ言い、日向の隣に座った。





　「よし、参加するのはこれだけだな？」



　人数を数え始める田中、何か言いたそうな顔をしている。



　「……日向！ Aさんを誘って来い……ッ！」

　「へえっ？！ お、俺がですか？！」



　突然、名指しで命令されたことに驚いた日向だが、田中は続ける。



　「そうだ、お前にしかできないミッションだ！！」

　「俺にしかできない、ミッション……！」



　うまく煽てられた日向は目を輝かせて、部屋を出ていった。

　そんな様子を見て呆れる一同。



　「お前……自分で行けないからって日向を使うなよな」

　「ぐっ……」

　「佐藤さんだって疲れてるだろうから迷惑かけるなよ」

　「うっ……」

　「アホ田中」

　「ただの悪口っ？！」



　田中に呆れながらも、参加するものはトランプを楽しみにしているのだ。

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