075 送迎 ページ25
「大丈夫? さっきの男に何かされてない?」
だいぶ離れたところで一度車を停めて、研磨くんに安否の確認をする。
「あ、だ、大丈夫……。その、ありがとう……、ございました……」
「いいえ。とりあえず、黒尾くんに連絡するけど、研磨くん携帯は? 繋がらないって言ってたよ」
「あ、充電が切れちゃって……」
「そうなのね、分かった。ちょっと待ってね」
不審者に絡まれたのだ、なるべく刺激しないように優しく声をかけていく。
一度も目を見てくれないけど、ちゃんと会話はできているから大丈夫だろう。
黒尾くんにリダイヤルで電話をすると、すぐに出てくれる。
『もしもし』
「あ、黒尾くん? 佐藤です。研磨くん見つかったよ」
『マジで?! 良かったあ……』
安堵の声が電話から聞こえてくる。
きっとそこには皆いるのだろう、後ろがガヤガヤしている。
「皆そこにいるの?」
『ああ、子どもたちは駅にまとまってろって。今監督たちが探してたから、他のやつに連絡させるわ』
ちょっと待って、と一度電話から離れ、他の子たちに監督に電話するよう指示しているのだろう。
「研磨くん携帯の充電切れちゃったんだって。とりあえず、私が送り届けるから。仙台駅でいいんだよね?」
『そうしてくれると本当に助かります。迷惑かけて申し訳ないです』
「新幹線の時間には間に合うと思うから。また近くなったら連絡するね」
『よろしくお願いします』
今までタメ口で話してくる生意気な黒尾くんだったが、こういうところはきちんとキャプテンなんだな。礼儀正しい。
烏養さんと先生にも連絡しなければ。
『もしもし?』
「あ、烏養さんですか? 佐藤です。研磨くん見つかったので仙台駅まで送り届けてきます」
『本当か?! 1人で大丈夫か?』
「はい、戻ってると時間ないので。ここからなら15分くらいで着けるので大丈夫です」
『そうか、焦らず気をつけてな。武田先生には言ったか?』
「いえ、まだです」
『俺から、連絡しておくから佐藤さんはもう出発していいぞ』
「ありがとうございます、お願いします」
報告を終えて、ひと呼吸いれる。
そして研磨くんに一言言わなければならない。
「……シートベルトしっかりしてね」
「……はい」
「安全運転に努めるけど、まだ初心者なので……」
「…………はい」
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ぴえん - めっちゃおもろくてもうとにかく好きです。ー日本語が変なのは気にしないでくださいー (2020年8月3日 10時) (レス) id: 243282b2cc (このIDを非表示/違反報告)
西(プロフ) - しらすパンさん» ありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです。頑張ります! (2020年5月31日 23時) (レス) id: c8d57ac98d (このIDを非表示/違反報告)
しらすパン(プロフ) - とても面白くて一気読みしてしまいました!!続き楽しみにしてます!更新頑張ってください! (2020年5月29日 21時) (レス) id: d0609b57e9 (このIDを非表示/違反報告)
西(プロフ) - みずきさん» ありがとうございます。今この時世ですからね、お互いステイホームで頑張りましょうね! (2020年5月17日 19時) (レス) id: c8d57ac98d (このIDを非表示/違反報告)
みずき(プロフ) - コメ失礼いたします!一からすべて読ませていただきました。とてもおもしろかったです!体調に気をつけて更新頑張ってください。応援しています!(*´∀`) (2020年5月17日 0時) (レス) id: bace071e6e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:西 | 作成日時:2020年5月16日 21時