256 尊敬する人 ページ24
《side智輝》
相談したいことがあるので、
温室で会えませんか?
うん、いいよ
・
・
通いなれた温室に入ると、いつも通り綺麗な花が迎えてくれる
結和は入院中だから、ここにはいない
もしかしたら、結和のいない温室に来るのは初めてかもしれない
・
向かうのはツリーハウスじゃなくて、
アネモネの花畑
アネモネは2月〜5月の花だから、外の6月の気温より涼しくて気持ちいい
花畑に着くと、早めに来たはずなのに
もうベンチに座り、紫のアネモネを見つめる後ろ姿があった
輝「すみません、待たせてしまって…
大野さん」
o「ん？
いや、俺が早く来ただけだから笑」
・
・
大野さんの横に静かに腰を下ろした
o「で？どうしたの？
俺、あんま相談とかされないから、いいアドバイスできないかもしんないよ？笑」
輝「あの…結和が歌詞を書けなくなったんです」
o「えっ…」
輝「波多野先生は、コンサートである程度過去と区切りをつけた事が原因だと…」
o「結和ちゃんは…？
今どうしてるの？」
輝「入院してます
心と身体に負担がかかってるみたいで…」
o「そっか…」
輝「俺は、結和が作った以外の歌詞を歌うつもりは無いんです」
o「うん」
輝「俺は、リーダーとして、
どうしたらいいですか…？」
o「…」
輝「結和を、OETYを守りたいんです」
o「智輝くんは…
まだ歌いたい？OETY続けたい？」
輝「俺は…続けたいです
結和は歌って踊ってる時が、一番輝いているんです
それをもっと
o「そっか…
じゃあ、結和ちゃんに歌詞を書いて欲しいんだ？」
輝「そう、なりますね…」
大野さんに言われて、改めて気づく
書けなくなった結和に、もう一度書いて欲しいなんて頼めない
負担が大きすぎる
o「俺はさ、普段あんまり歌詞書かないんだけど…てか、書けないんだけどね、
2回？3回？まぁ、少しだけ書いたことがあるの」
輝「…」
o「普段は作詞とか、何書いていいかわかんないし、ペン持っても全然進まないんだけど、その数回だけはスラスラ書けたんだよね…笑
なんでだと思う？」
輝「なんで、って……」
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作者名：ミックス。 | 作成日時：2018年2月11日 3時
