ウチの子【K.Ninomiya】 (ページ49)

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② ページ49

……ガチャ！

「ただいま！！A！？」

いつもなら俺が帰ってくるとAは玄関まで出てきてくれる…けど、今日は出てくる気配がない。

急いで靴を脱ぎ捨てて、リビングに向かう。

すると、テレビの前にAの姿。

こちらを向く様子はなく、三角座りをしてずっと俯いたまま。

「…A？」

声をかけても反応がなくて、俺はとんでもないことをしてしまったんだと後悔した。

ちゃんと説明しておくべきだった。

いくらAに理解があっても、やっぱり不安になるだろうし、週刊誌が出る前に話すべきだった。

……今からでもちゃんと話してわかってもらおう。

そう思ってAの視界に入る。

A「…あれ！？かずくん！？早かったね！おかえりなさい♪」

「へっ！？」

急にいつものAに戻って、マヌケな声が出る。

Aはニコッと笑うとイヤホンらしきものを外して、立ち上がり俺のカバンをいつものように受け取る。

突然のことに呆然としてる俺を不思議に思ったのか、俺の顔を覗き込んで「かずくん、どうしたの？」って心配そうに聞いてくる。

「…いや。アナタ週刊誌、見た？」

A「週刊誌？あぁ、さっきテレビでもやってたよ！」

「え、平気なの？」

A「だってまた頼まれたんでしょ？(笑)それに二宮和也の熱愛報道は、冷やし中A始めました♪レベルで夏の風物詩だから(笑)。」

「なによ、それは(笑)。でも、メッセージ返さなかったじゃないのよ。だからてっきり…」

A「あ！ごめん！今日ね、Bluetoothのこのイヤホン試してたら楽しくなっちゃって、ずっと音楽聴くのに夢中で、メッセージ返すの忘れてた！」

「…もぅ～何なのよ。」

安心して床にへたり込んだ俺を見て、Aもしゃがみ込む。

A「ごめんね、心配して急いで帰ってきてくれたんだね？でも、こんなことでヘコタレてたらかずくんの彼女はつとまんない！」

「いや、良かったわ。安心した。それに。俺のことちゃんと信じてくれてありがとう。」

A「んふ♪当たり前だよ。かずくん見てたらわかるもん。ちゃんと私のこと好きでいてくれてるなーって。」

「そう？」

A「うん♪」

「A、好きだよ。」

A「私も。かずくん大好き♪」

やっぱりウチの子は。

ワタシの考えてる範疇を平気で超えていく。

いや、今回は(も？)完敗ですな。