失敗 ページ29
ボスの部屋の前まで辿り着き、撃ち合いの中で放たれたのだろう、扉に二発分の穴が空いていた。
ガチャッ
「ボス、大丈夫ですか!?」
「あぁ、スペードか。
大丈夫だよ。
ほら、生きている。」
そう微笑むボスの右手から、どす黒い赤色が流れ落ちる。
「どこが大丈夫何ですか!?
早く手当てしないと!」
慌てているスペードに、本当に大丈夫だから、とよく見せる。
「もう止まっているからね。
それより、殺せそう?」
「今、ハートとダイヤが奴らに付いて行き、ターゲットの居場所を探しています。」
「で、スペードはどうして戻ってきたのかな?」
いつもの様に笑顔で、笑っていない眼で鋭く見られる。
「それは、、、もう少し、依頼内容を詳しく知りたかったので。」
「庇っている人物を殺す、それだけだと不満かな?」
「、、、いえ。」
その眼で睨まれると、何も言えなくなる。
それが分かっているから、何も言わせないようにする為にやるんだ。
この人はいつまで経っても怖いままだ。
「そうだ、君らが撮ってきたこの写真。
この偽装中の写真に、ターゲットが写っているだろう?
持って行くといいよ。」
頑張りなさい、と左手をヒラヒラ振った。
渡された写真を持ち、出て行く。
「はぁ。
二人に何て言おうかな。」
ため息をつき、遠くを見た。
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作者名:童子 | 作成日時:2019年10月25日 8時