任務 ページ3
｢お前が悪い。｣
そう言い放ち、男は首にナイフを当て、勢いよく切った。
ビシャッ
返り血を浴びた男は、先程と全く変わらない無表情のまま、転がっている骸の裾で得物を拭う。
｢もう終わったのー？｣
こちらに向かって全速力で走ってきた男が聞く。
｢今日も早かったねー。
さっすがだわー。
俺も見直さないとね♪｣
｢そっちは片付いたのか？｣
｢片付いてなかったら、ACEんとこ来ないでしょ？
早く帰ろ♪｣
そう言うと、スキップをしだした。
｢ハート、お前普通に歩け。
見ていて気持ち悪い。｣
スキップしながら、先に車に乗り込んだハートが、てへ。と舌を出し、可愛子ぶる。
その顔にイラつき、一発殴り車へ乗り込んだ。
二人とも返り血を浴びた服のままだった為、車内は血の匂いで充満していた。
さっきまで明るくはしゃいでたハートは、殴られた頬を擦り、余計な事を言って、また殴られないよう黙っており、沈黙が続いた。
そんな中、一時間くらい走り、車が完全に停止する。
ドアを開け、いつものようにボスへ報告しに行く。
その間もずっと頬を擦るハート。
小さく痛いと呟きながら擦っている間に、ボスの部屋に着き、扉を開けた。
机に向かって真剣な顔で書類と睨めっこしているボスに報告する。
｢任務完了しました。｣
｢今回も早いねー。
ご苦労さん。
次も期待してるよー、二人とも。｣
｢あざーっす。
じゃっ！｣
さっきまで痛がっていたのが嘘のように、軽い返事をしたハートが手の平を勢いよく開き、顔の近くで振りながら部屋を後にした。
｢んもー。
ACEくん愛想無いのー。
そんなんじゃ、ボスにも可愛がって貰えないよー？｣
｢うっさい。
愛想無くても任務を完璧にこなしゃあ良いだろうが。
お前と一緒にすんな。｣
殴られた事も忘れ、しつこく構ってくるハートを軽くあしらい、自身の部屋へ戻って行く。
｢つまんねー。｣
ポツリと呟き、無表情でハートも自室へ戻った。
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作者名：童子 | 作成日時：2019年10月25日 8時
