総理 ページ45
−その頃、トランパーでは−
「漸くこの時が来たな。」
そう言って、怪しく笑うボス。
その傍らには、ACEらが護衛していた男が立つ。
「いやー、ここまで長かったですね。
然し、彼らは少し、気付くのが遅過ぎましたね。」
男は笑いながら、そうボスに話し掛ける。
「遅いものか。
彼らにはまだ、大役が残っているのだから、働いてもらわないと。」
「そうでしたね。」
二人が不気味に笑う部屋の外で、ACEはそのやり取りを密かに聞いていたが、静かにその場を離れて行く。
「ふっ。
本当は気付いていたさ。
真に恨むべき者を恨まず、自ら悪の手先となった。
こんな性格じゃ無ければ、今頃お前らと一緒に居れたのかもな。」
天を仰ぎながら、誰に向けられた訳でも無い言葉が、静寂に飲まれていった。
その様子を、ずっと監視カメラで見ていたボスは、冷たく笑った。
「どうしたんですか?」
何も知らない男がボスにそう聞くが、何でもないと言われ、首を傾げた。
「じゃあ、そろそろ動き出そうか。」
「そうですね!」
では、と部屋を出て行った男。
これで私は、勝ち組になる。
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作者名:童子 | 作成日時:2019年11月3日 17時